【対談】多世代が安心して暮らせる街へ 「Fビレッジメディカルスクエア」始動
8月1日にメディカルモール「Fビレッジ メディカルスクエア」がFビレッジ内に開業した。小児科不足など、北広島市が抱える医療課題を解決する施設として期待されている。北広島市長の上野正三氏と同施設を運営するミライシアホールディング社長の神山武士氏に、今後の展望を聞いた。
Fビレッジ内にメディカルモールが誕生
――6月に累計来場者数が500万人を突破するなど賑わいを見せるFビレッジですが、メディカルモール「Fビレッジ メディカルスクエア」開業の経緯を教えて下さい。
上野 北広島市は札幌のベッドタウンとして、多くの子育て世代が暮らしていますが、小児科や産婦人科が不足しているという医療課題がありました。市民が安心して暮らすためには、医療施設の充実は喫緊の課題で、特に子どもたちが安心して受診できる環境整備が求められていました。そこで、新たなメディカルモールの運営に手を挙げていただいたのがミライシアホールディングの神山社長でした。
神山 北海道日本ハムファイターズさんから、子どもから大人まで多世代が楽しめる〝Fビレッジ〟を目指す中で、医療の充実が必要だと聞いていました。また、上野市長から北広島市の医療課題についても伺っていました。そこで、当社が掲げる〝ミライをシアワセに〟という理念に基づき、これまで薬局運営事業を通じて多くの医療機関と連携してきたノウハウを生かし、北広島市の地域医療に貢献したいという思いからスタートしました。
――施設の詳細についても教えて下さい。
神山 上野市長が指摘した小児医療の脆弱性を解決するため、まずは小児科「Fビレッジこどもクリニック」の誘致を第一に考えました。また、当施設はサービス付き高齢者住宅「マスターズヴェラス北海道ボールパーク」と併設されていることから、在宅医療や緩和医療のニーズもありました。そのため、予防医療からホスピス、ターミナルケアまで対応できる内科「FビレッジTSUBAKI Clinic」を誘致しました。さらに、Fビレッジという地域性を考慮し、スポーツの領域に特化した整形外科「Fビレッジ整形外科スポーツクリニック」も迎えました。現在、この3つのクリニックが診療にあたっています。
上野 北広島市の高齢化率は2024年9月時点で、34・4%と全国平均の29・3%を上回っており、高齢化する市民への対応の充実が必要となっておりましたので、クリニックを誘致していただき大変感謝していますし、期待しています。これからも神山社長とも連携を強化し、地域医療の発展に向けた取り組みをさらに進めていきたいと考えています。
産学官の連携で地域の未来を切り拓く
――北広島市の地域医療の展望は。
上野 Fビレッジ内には北海道医療大学が移転することが決まっています。これにより、3000人を超える学生が通うことになり、市の活性化だけでなく、大学との連携を通じて、まちづくりに大きく貢献していただけるものと期待しています。また、大学が運営する大学病院と歯科クリニックも移転されると伺っております。現在、本年6月に締結した連携協定を基本として、産学官の連携を図ることで既存の医療機関も含め地域医療の充実を目指しています。
神山 現在の小児科、内科、整形外科に加え、今後は産婦人科も誘致してさらなる充実を図っていきます。
また、北広島市では社会人の転入が増えており、Fビレッジではさまざまなプロジェクトが進行中です。そのため今後、市民の皆さんの医療ニーズが変わる可能性もあります。地域の要請に応える柔軟な施設として、多くの方に必要とされるメディカルモールとして進化させていきます。
具体的な協議はまだ行っておりませんが、今後は北海道医療大学さんと協力して、医療従事者の育成や研修、クリニックとの連携などを通じてシナジー効果を創出し、医療の質の向上を目指したいと考えています。
北広島市の地域住民の健康増進や予防医療で、全世代が安心して暮らせる環境の実現に貢献できるよう尽力していきます。