【道2区補選】両親からの不適切献金で謝罪…松木謙公は補選・本選を一枚岩で戦えるのか?
「結果的に収支報告書の訂正という事態に至ったことにつきましては、誠に申し訳なく思っています。お騒がせして大変申し訳ございません」
2月12日、元衆院議員の松木謙公氏が記者会見を開催した。松木氏の説明によれば、2017年と19年に自身の両親名義で、松木氏の4つの後援会にそれぞれ年100~150万円ずつ献金され、その直後に資金管理団体「新世界研究会」に移されていた。内訳は17年が2つの後援会経由で500万円、19年は4つすべての後援会経由で600万円で合わせて1100万円。
政治資金規正法では、個人から政治団体への献金(個人献金)は年150万円までに制限されている。これに抵触の恐れがあるとして、松木氏は弁護士と相談の上、2月10日付けで収支報告書を訂正した。
松木氏は冒頭のように謝罪した上で、4月13日告示、25日投開票の衆議院北海道2区補欠選挙には出馬する意向だ。
この会見については、前日11日に急遽、報道各社にアナウンスがあったもの。さらにその1週間前、その時点で詳細は不明ながら「松木氏にもカネにまつわる話が出る」という噂が松木氏の地元・2区内を中心に出回っていた。
本誌記者は、本日発売の月刊財界さっぽろ3月号にてその点を確認すべく本人にアポイントを求めていたが、秘書からは「東京に出張している」などと説明があり、締め切りまでに面会はできなかった。
「普段の松木さんは、記者を含め誰とでも気さくに会うしざっくばらんに話すタイプ。補選を控えた大事な時期と言うこともあり、党本部からこの件を含め“箝口令”が敷かれたという話もある」と地元政治記者は明かす。
さて「松木氏にも」というのは、もちろん2区補選の原因となった、吉川貴盛氏(自民党離党済み)の収賄疑惑にかかる議員辞職が背景にある。
河井克行・案里夫妻の公職選挙法違反事件なども含め、今回の補選はまさに政治とカネがテーマ。当Webサイトでも報じている通り、与党が2区補選での候補擁立を見送ったこともあり、補選で立憲民主党公認候補として出馬を予定する松木氏は圧倒的に有利な立場だ。
その松木氏にカネの問題が表面化したことで、今後の方針についてもっとも注目を集めているのが、野党共闘を積極的に推進してきた共産党だ。
共産は補選が決まる以前から、次期衆院選の2区公認候補予定者として前札幌市議会議員の平岡大介氏を擁立。党本部レベルでは立民との野党共闘を模索する一方、補選が決まった後も平岡氏は2区内で地域回りを続けてきた。
そこへ与党が不戦敗を選んだことで、野党共闘の旗印としてきた与野党対決の構図が失われ、さらに松木氏の問題が噴出した。
「もともと松木さんの父が自民党北区支部長だったこともあり、松木さんには保守よりの支持者が多く、資産家でもある。地元の支持者に会うと『野党共闘すると言われても松木には入れない!』という声は多い」(共産地元関係者)
本稿を執筆している現在まで、補選についての野党共闘、つまり松木氏か平岡氏のどちらが出馬を取りやめるか、についての結論は見ていない。だが、仮に松木氏を野党統一候補に決めたとしても、現状は松木氏と共産支持者が一枚岩になれるかといえば、はなはだ疑問と言わざるを得ない。
本日発売の月刊財界さっぽろ2021年3月号では、2区補選の大きなうねり、とくに与党が候補擁立を見送って以後の動きをまとめた特集「2区補選・自民“肩すかし”の波紋」を掲載した。
トップ記事では、松木氏が過去2回の2区での衆院選で分裂選挙を強いられた経過を踏まえて捲土重来を期す中、自陣営にはびこる“野党共闘不要論”の深層を探った。
また共闘に外部から“ヒビ”を入れようとする北海道新聞社所属女性記者の行動を追跡。与党不戦敗の中で出馬を決意した自民党員・長友隆典氏や、保守系関係者が声をかけたとも言われるフリーキャスター・鶴羽佳子氏の出馬についても触れている。
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