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森山病院

石子 智士 眼科部長
いしこ・さとし/1987年旭川医科大学医学部卒業、旭川医科大学大学院修了。ハーバード大学スケペンス眼研究所客員研究員、ハーバード大学眼科客員講師、旭川医科大学眼科准教授、旭川医科大学医工連携総研講座特任教授などを経て2023年4月から現職。日本ロービジョン学会理事長としての顔も持つ。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。

目の予防医療にも精通。自己判断の受診遅れに警鐘

 心療内科や脳神経外科など10の診療科と3つの専門外来を展開する森山病院は、旭川市を中心とした道北エリアの地域医療を担う総合病院。急性期医療から回復期における専門的な医療の提供に加え、救急医療機関としても地域の信頼は厚い。

 同院で眼科の陣頭指揮を執るのが石子智士部長だ。旭川医科大学大学院で近視を中心に研究。准教授や特任教授などを経て、2023年4月から現職に就いている。

 近視などの一般的な疾患から、視野障害が代表的な症状である緑内障や白内障など専門性の高い疾患に精通。これらの予防医療にも力を注いでいるのが特徴だ。

「目の病気は痛みがないものが多く、自覚症状が乏しい。症状がなくても、定期的な受診が欠かせません」

 インターネットの普及で医療情報があふれている現代社会。石子部長は、自己判断により受診が遅れてしまう患者が多いことを危惧している。

「病気について調べるのは良いことですが、思い込みは危険。『知人が同じ症状だったが問題はなかった』と安易に放置するケースもあります」と警鐘を鳴らす。

 例えば、近視はメガネやコンタクトレンズで矯正できるというイメージがあるが、強くなると網膜剥離や緑内障などを併発し、失明に至ることもあるという。

「近視は緑内障、軟性ドルーゼンは加齢黄斑変性といった重篤な疾患が潜んでいるケースもあります。このような場合も早期に発見することが重要なので、適切な時期に受診してほしい」

 また、石子部長が近年注目しているのがアイフレイルだ。加齢により目の機能が弱っている状態のことだが、中には病気が隠れていることもある。「年のせいだと思わないことが肝心」だという。

 一方、ロービジョンケアの普及にも注力しており、22年から日本ロービジョンケア学会理事長に就任している。

 ロービジョンケアとは、患者にとって必要なサポートをすること。例えば、ひとえに「見えにくい」という訴えも、詳しく聞くと「霞む」「視野が狭い」「まぶしい」など、患者により症状や程度は千差万別だ。これらの状態に応じて老眼鏡やルーペなどの提案のほか、日常生活改善のアドバイスなども行っている。

「見えにくいなどの症状がある場合は、一度専門医を受診してください。当院では適切な治療はもちろん、QOL(生活の質)を向上させるための提案もしています」

診察は丁寧でわかりやすい説明を心掛けている
2020年に新設した病院