全日計

漏えい事故を独自技術で徹底予防。ガソリンスタンドを守る黒子企業
地下タンク設計・製造の国内大手「タマダホールディングスグループ」(本社・石川県)のグループ企業として、北海道エリアで事業を展開する「全日計」。「ENEOS」や「出光昭和シェル」など、さまざまなガソリンスタンドの地下に埋設する燃料貯蔵用タンクの設計・施工、保守業務を担っている。
近年、特に需要が高まっているのが、タンクや配管の更新・改修工事。経年劣化によって腐食が進めば、各所に穴が空き、ガソリンの漏えいにつながるためだ。同社では、現在主流となっているさびに強い樹脂を用いてタンクや配管の入れ替え、新設に対応する一方、既設のタンクを改修する「FRPタンクライニング」や既設配管を活用する「パイプコーティング施工」の提案に力を入れている。
2010年からは本格的に配管の改修をスタート。タンクローリーからガソリンをタンクに注ぐ「注入管」や空気を抜くための「通気管」、ガソリンタンクから計量機までをつなぐ「吸上管」の3つの配管に対応する。
このパイプコーティング施工は、タマダ社独自の技術を活用したもので、専用の高圧コンプレッサーを用いて特殊な樹脂を既設管に流し込み、まんべんなく塗布することで長期間の腐食を防ぐ。耐油性に優れ、漏えいを長期にわたって予防できる。
「配管の口経と距離をもとに樹脂の量と風圧、樹脂を柔らかくするための塗布温度を導き出して施工します。均一に塗布するために、当社の技術者は徹底的にトレーニングを積みました。道内で既設管のコーティングができるのは当社だけです」と渡邊隆臣社長。
従来の配管の入れ替え工事は1カ月程度の休業が必要だが、パイプコーティング施工の費用は3分の2程度。何よりガソリンスタンドを営業しながら工事可能で、休業中に他店に利用者を奪われる心配もない。
工事の対象は主に新設から20年を超えた配管だという。渡邊社長は「腐食が進んで既設管に穴が空いている場合は入れ替え工事になってしまいます。これまでの経験上、30年経過した配管は穴が空いているケースが多い。その前の改修がポイントです」と話す。
同社では、札幌と近郊のガソリンスタンドを対象に、既設管の無料検査を実施中。専用のカメラを用いて配管の中を目視することができる。今後も漏洩事故の予防を呼びかけていく。


