誠和工業
「スーパーフレーム工法」で建築費高騰に立ち向かう
建設、土木工事一式を主事業とする「誠和工業」。2006年の会社設立から右肩上がりで成長を続けてきたが、コロナ禍の影響や建築費の高騰などの影響を受け、昨年は成長速度が鈍化。売上高は過去最高だったものの、減益に転じた。
建築費高騰の兆しが見えた数年前から着目したのが、日本製鉄が開発したハイブリッドパネル工法の「スーパーフレーム工法」だ。スチールと各種構造面材を使用したパネルを組み合わせる独自の工法として知られ、ZEH‐MやZEH-Bに対応することも可能。大幅に建築工期が短縮できるメリットもある。
同社では日本製鉄の関連会社「スーパーフレーム北海道」とタッグを組み、水面下で〝種まき活動〟を行ってきた。
文入圭輔社長は「世に出てから約20年たった工法ですが、鉄やコンクリートが高騰している現状では、建物の規模によりますが従来工法に比べて1~2割ほど建築コストを圧縮できるケースが多い。軽量鉄骨造扱いになり、固定資産税を抑えられるメリットもあります。断熱性や遮音性、耐久性、耐火性なども高く、社宅や賃貸住宅、高齢者住宅など、さまざまな用途に対応しています。従来工法を含め、選択肢の1つとして提案しています」と語る。
このスーパーフレーム工法を用いた複数のプロジェクトが、今夏から動き出すという。
こうした新たな展開に必要不可欠となるのがマンパワーだ。同社では人材教育に力を注ぎ、今年からは「SEIWAアカデミー」と銘打って、幹部社員をはじめ、若手社員も対象にした外部コンサルによる講習をスタート。目の前の業務を〝こなす〟ことだけに終始せず、例えば各現場の損益計算など、自身の仕事の価値を見える化。グループディスカッションなども取り入れながら、社員がインプットとアウトプットを繰り返し、意識の向上にもつなげている。
「何のために仕事をしているかを考えることが重要。業務という〝行動〟の動機付けをしていきたい。先輩社員として、今後入社する新入社員にも好影響を与えられるはず」と文入社長。
創業20周年の節目となる26年に向けて、経営理念も一新した。「~人と繫がり、人と共に成長し、人々の人生を豊かに、夢に溢れるライフスタイルを~」という新理念に込めた思いを文入社長は「施主様はもちろん、取引会社や協力会社をハッピーにできれば、自分自身がハッピーになれる。自分が幸せでなければ、関わる人を幸せにできませんからね」と説明する。