アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】ユース出身・西大伍選手が語る移籍

攻撃を組み立てられる希有なサイドバック

 砂川 大伍はヴィッセル神戸から移籍して、2021年シーズンは浦和レッズでプレーすることになった。30代になってもビッグクラブを渡り歩けるのはすごいね。

 西 所属チームで試合に出ていながら、違うクラブへ移籍するというのはあまり聞かないかもしれませんね。

 コロナ禍で財政的に厳しいクラブも多い中でオファーがあったことはうれしいし、常に新しい挑戦をしたいと思っているので、その点では楽しみです。

 砂川 移籍って、精神面も肉体面も、結構パワーが必要だと思うのだけど。

 西 自分のプレースタイル的には、本当は同じクラブに長くいたほうが、周囲に理解してもらいやすいと思っています。

 でも移籍を何度かするうちに、最初のシーズンからでも周囲に合わせつつ、自分のプレーを出せるようにはなってきました。

 砂川 コンサ時代は中盤から前、その後は主に右サイドバックあたりで出ることがほとんどだった。ポジションにこだわりはある?

©財界さっぽろ

 西 本当は前目のポジションがいいとは思っていて。サイドよりは中のほうがいいです。

 砂川 サイドバックは、前線と自陣の間を往復する回数の多さが評価されがちだよね。

 西 今は試合ごとにさまざまなデータが取られていて、それをもとに、たとえばダッシュが足りない、と言われることがあります。でも本当は、試合の流れやチームの戦術、狙いがあって、それに基づいて選手が連動して動く。そのためにということで、自然とダッシュする必要があると思う。だからデータだけで語られるのは、好きではなかったですね。

 砂川 実際、神戸での大伍は、上下運動だけでなく中へ入っていくプレーをよく見せていたし、中盤で組み立てつつ、ペナルティーエリア内でも違いを出していた。

 マンチェスター・シティ(イングランド1部)とかバルセロナ(スペイン1部)のように、世界を見れば今のサイドバックが求められていることでもあるけど、日本には中々いない。

 西 今季、移籍するにあたって、浦和はスペイン人監督(リカルド・ロドリゲス氏=前徳島ヴォルティス監督)になりますが、自分のそういうところを評価してもらっています。サイドバック以外のポジションでも、と言ってくれているぐらい。基本はサイドバックだと思いますけど、試合の中でポジションを変えることも当然あるでしょう。


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(にし・だいご)1987年8月28日、札幌市生まれ。地元のサッカー少年団からコンサドーレ札幌U―15、U―18を経て2006年にトップチームへ昇格。J1の舞台で戦った08年、プロ3年目で中盤の選手として頭角を現し、翌年から右サイドバックにコンバートされ42試合に出場。10年にアルビレックス新潟へ期限付き移籍し、翌11年には鹿島アントラーズへ。常勝軍団でリーグ・天皇杯・ACLなど数々のタイトル獲得に貢献する。18年に移籍したヴィッセル神戸でも主力として活躍し、21年シーズンからは浦和レッズでプレーする。