アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】石川直樹選手・荒野拓馬選手

自粛期間中にできることを考えた

砂川 新型コロナウイルスの影響で2カ月近くの間、練習そのほかの活動が自粛となっていたけど、この間2人はそれぞれ、ピッチ外での活動に力を入れていたね。

荒野 試合がなく練習もできない状況の中、選手会としての活動や武蔵(FW鈴木武蔵選手)が立ち上げた社会貢献のNPO(「Hokkaido Dream」)での取り組みに参加していました。

その中で、自分自身でもできることはと考えていた時に、食品が余って廃棄されるフードロス問題を取り上げたニュースを見て、何とかできないかと。

砂川 それで立ち上げたのが「Food Rescue Hero」(5月29日から「Rescue Hero」に名称変更)だね。

荒野 余りそうな食材の情報を生産者さんから提供してもらい、Webサイトを通じて出品、販売しています。ナオさん(DF石川直樹選手)や武蔵、スゲさん(GK菅野孝憲選手)などを通じて他クラブにも賛同してくれる選手が増えてきました。さらに活動を拡げて、1人でも多くの困っている方を救うことができたらと思います。

砂川 手ごたえはある?

荒野 自分自身が立ち上げから始めて、少しずつ形になってきたので、その意味で手ごたえを感じています。誰かのために行動するのはパワーがいりますが、そうすることで自分も人間として成長できるはず。

リーグが再開するとどうしても手がかけられなくなるので、今しっかり土台を築いて、武蔵のNPOとも一体で取り組みたいですね。これが5年、10年、自分のセカンドキャリアとしても続けられるような仕組みにできたらと思います。

砂川 直樹にはzoom(オンライン会議アプリケーション)を通じて、アカデミーの子たちと交流してもらったね。コーチの立場からも本当に感謝しています。

石川 トップの選手はプロですから、自分がすべきことはある程度自分で考えられる。でも子どもたちは外出自粛で練習もできず、家にいなくてはならない中、コンサドーレの看板を背負っているわけで、プロを目指して何かできることをしてほしい、という思いがありました。

実は僕自身、札幌以外にも室蘭や旭川、釧路とこんなに拠点があることを知らなくて。札幌以外のアカデミーの子たちは、トップの選手と交流する機会もないし、試合を毎回観に来るのも大変ですよね。だからネット越しでも交流できたのは、とてもいい機会でした。

砂川 直樹が話したクロスへの対応なんて、俺も同じ事を子どもたちに伝えたはずなのに、食いつきが全然違ったよ。アカデミー出身の荒野や進藤(DF進藤亮佑選手)にも協力してもらったね。

荒野 僕がU―15にいたころは、直接トップの選手と交流する機会がなくて。この年代の子たちには貴重な体験だと思うし、1人でも多く上のカテゴリに上がることを期待しています。

石川 聞かれたことを、子どもたちにわかりやすく伝えるという作業は、僕たち選手にとっても、サッカーからしばらく離れていた中、ピッチに戻る上で大切なことだと思いました。

砂川 リーグ戦は7月4日再開が決まり、6月から全体練習も再開するね。

荒野 始めは練習や試合には制限があると思いますが、試合ができるということには感謝の気持ちを持たないといけないです。イレギュラーなことにも対応するのがプロですし、サッカー人生としてもこんな経験はなかなかできませんから、宿命だと思って、この状況も楽しみたいと思います。

石川 過密日程のほうが自分のチャンスは増えるので、そこは大歓迎です。自粛中でもできるトレーニングは休まずやってきましたし、全体練習での最初のアピールがすごく重要。ケガをしないようにしつつ、自分の持てるものを出していきたいです。(構成・清水)


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(あらの・たくま)1993年4月20日、札幌市生まれ。180センチ・72キロ小学2年からサッカー少年団でプレー後、中学1年でコンサU-15入り。U-18昇格後チーム最年少記録となる17歳187日でJリーグデビュー。12年、トップチームに加入。背番号27

(いしかわ・なおき)1985年9月13日、千葉県柏市生まれ。180センチ・74キロ。04年に柏レイソルでプロデビュー後、08年7月にコンサへ期限付き移籍。11年にアルビレックス新潟、13年にベガルタ仙台を経て17年7月末にコンサへ6年半ぶりに復帰。背番号2