アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

DF・福森晃斗「守備を免除されているとは思っていない」

得意の左足からビルドアップのパス、クロス、時には直接ゴールを叩き込むDF。日本代表待望論も取りざたされるミシャ・サッカーの体現者は、ミスによる失点が増加した昨年の反省を生かし、最終ラインの自覚を再確認して今シーズンへ臨む覚悟だ。(取材日=1月11日)

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ミシャ体制3年目は“質”を高めたい

――このオフはどんなことをしましたか?

福森 年末までは北海道にいて、1月1日から7日まで神奈川県の実家に帰っていました。藤沢市が地元なので、近くの江ノ島に行ったり、1月4、5日に東京ドームでおこなわれた新日本プロレスの大会を見に行ったり(編集部注・同団体の内藤哲也選手と交流がある)。最後は箱根の温泉に祖母も連れて家族で旅行へ。年始は体を動かす時間をあまり取れなかったけど、それまではクラブハウスやジムでトレーニングしていたので、すぐにでも動けます。

――コンサでのプレーはもう6年目。これだけ長く在籍すると思っていた?

福森 コンサには拾ってもらったようなもの。そうでなかったら今のサッカー人生はないと思います。選手を続けられていなかったかもしれない。拾ってくれてありがとうございます、という感じ(笑)。チームにいられる限りは在籍したいです。

――昨年とほとんど同じ選手で戦うことになりました。中にはオファーのあった選手もいるかもしれませんが、多少の年俸アップ程度では移籍を選択しなくなったという見方もあります。

福森 プロである以上はお金も必要だと思います。ただ、僕自身は試合に出られてナンボ。それが1番大事なことですから、年俸のことは気にしていません。

それと、ペトロヴィッチ(ミシャ)監督の戦術は独特ですから、今のうちの選手がよそに移籍したら、なじむまで時間がかかるのでは。僕自身もかなり慣れてきているので、いまほかのチームに移籍したら、少し不安かも(笑)

もちろん、ほかのチームからコンサに来る選手も、不安は大きいと思いますが。

――現体制になって3年目ですが、昨年までとの違いや、さらに追求できそうなことは。

福森 特別なことはないですね。そもそも監督が来たことで、それまでの守備的な戦術が180度変わったわけですし。

ただ、1年目にリーグ4位で、2年目は得点が増えたけど失点も増えてしまって10位。そこからの3年目なので、今年はもっとサッカーの質を上げないといけない。ヨモさん(四方田修平ヘッドコーチ)が監督の時には、しっかり守備の時どうするか確認をしていましたが、あらためてそこはやらなければいけないのかなと。攻撃に偏り過ぎてしまっている部分は確かにあるので、もう一度守備を見つめ直さないといけない。

――DFで、かつ攻撃の起点を担っているからこその思い。

福森 以前、野々村(芳和)社長に「お前はディフェンスの選手なんだからな」と言われたことがあって。でもミシャさんは「福森は守備免除」みたいなことを言っていて……(笑)。僕自身は1㍉も守備を免除されていると思っていないし、もっとDFとしての役割を果たさないといけないと思っていて。

攻撃に関しては、2年間やってきたことを出していけば全然問題ない。ほかのチームがすごく選手補強をしている中、守備の面で難しい試合が多くなると予想できるので、いかに失点を少なくできるかが大事ですから。

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勝利なら、結果を残すのは誰でもいい

――コンサに加入後、大きなケガがありません。その秘訣は。

福森 うーん……体が硬くてムリが利かないからですかね(笑)。体が動く範囲でプレーしているので。「もっとムリしろよ」と思う人もいるかもしれませんが。筋トレも好きではないですし……そう言われると、自分でも不思議です。

――20代も終わりに近づいていますが、体には気を使う?

福森 試合があった週はトレーナーに体をほぐしてもらうこともありますが、まだそれ以外のケアはしていません。自然体がいいのでしょう。

――チームにとって替えが利かない選手、という自覚は。

福森 僕自身は、誰が出場しても戦力は変わらないと思います。昨年、軽いケガをしていた時はナオさん(DF石川直樹選手)が出て、点まで取っていました(笑)。誰が出場してもチームとしてマイナスはないと僕は思います。

――昨シーズン、ラストパスの数がイニエスタ選手(ヴィッセル神戸)と並んでリーグ1位でした。

福森 彼は僕よりも前線の選手ですけど、出場時間が短いにもかかわらず、あれだけの数字を残すのはすごい。敵ながら目で追ってしまうし、何を考えてどんなプレーをするのかワクワクします。同じパスの数でも、その質やチャンスメークは自分の方が下。僕も彼のマネできるところはマネしていきたいです。

――東京五輪開催の影響で日程が変則的です。公式戦は2月16日のサガン鳥栖戦(ルヴァンカップ)から始まります。

福森 昨年もそうでしたが、今シーズンの試合すべてに出場したいです。2月16日に向けて、体をいいコンディションに持っていくのが最優先。まず2月の5試合すべてフル出場できるよう、キャンプで取り組みます。

――個人の目標は。

福森 昨年は5ゴール10アシストを目標にしていて、ルヴァンカップも含めると達成できました。今年はそれを達成して当たり前にしたいです。それともう1つは、サポーターのみなさんに笑顔を届けること。僕だけではなく誰が結果を残してもいいので、最後は勝利しているようにプレーしたい。その上でシーズンが終わった時に、アジア・チャンピオンズリーグの出場権や、リーグ、ルヴァンカップ、天皇杯という3大タイトルのどれかを取って、サポーターのみなさんに笑顔を届けられたらいいなと思っています。(ききて・清水)


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(ふくもり・あきと)1992年12月16日、神奈川県藤沢市生まれ。183センチ・75キロ。名門・桐光学園高校から11年シーズンに川崎フロンターレへ加入。15年からコンサドーレ札幌へ期限付きで加入し、17年に完全移籍。精度の高い左足から繰り出すパス、FKが武器。背番号5、DF