新札幌乳業
ステークホルダーに向けた〝全方位型経営〟を推進
乳製品メーカーとして、70年以上にわたって〝生活者満足〟を追求してきた「新札幌乳業」。取り扱う生乳は年間5万6000㌧にのぼり、2024年3月期には初の売上高100億円を突破した。
全国的に乳製品市場が縮小する中、牛乳やチーズ、バター、ヨーグルトなどを高付加価値の独自商品としてブランド化。「小林牧場物語」シリーズなど人気商品を市場に投入している。
その一方、給食用の牛乳も供給するなど、食のインフラも担う。食の安心・安全が問われる中、工場では食品安全システム「FSSC22000」を取得。衛生管理も徹底している。
100年企業を目指す同社では、これまで同様に商品カテゴリーの拡充など生活者の志向に沿った商品展開を継続しながら、酪農家や飲食店、環境、地域など、すべてのステークホルダーに向けた〝全方位型経営〟へと舵を切る。
竹内久夫社長は「全国のお客様をはじめ、道内の酪農家、ホクレン、JA、流通各社など、関わるすべての皆様の協力と支えがあって、当社の事業は成り立っています。飼料の高騰や設備更新費の増大など、酪農経営を取り巻く環境は変化し課題もありますが、北海道の乳業メーカーとして、牛乳販売量の維持と生乳加工を通じて乳製品の魅力を広く訴求し、ニーズをより発展させていきたい。微力ではありますが酪農、乳業の進展に貢献していきます」と話す。
一方、地域の飲食店と共同で自社商品を取り入れた新しいメニューの考案にも取り組む。消費者とのタッチポイントを増やすだけでなく、飲食店のユーザー満足度も向上させる。今後、本社を構える新札幌エリアを中心に取引店舗を増やし、地域の活性化につなげる。
また、22年からは地域貢献活動の一環として、北海道札幌方面厚別警察署地域課と共同プロジェクトをスタート。自社で生産する牛乳パックに防犯広報を掲載している。地域犯罪の予防、抑制が目的で、防犯標語などをパッケージ上部に印刷して子供から高齢者まで広く注意を呼びかけており、同社では今後もこの防犯活動を継続する。
24年に発表したSDGs宣言では、30年までの目標を明確化。その一つが脱プラスチック化の推進で、牛乳(180㍉㍑、200㍉㍑)パックのストローを段階的に廃止しており、最終的には全商品のパッケージングでプラスチックを撤廃する。全社一丸となってCO2削減に取り組む方針だ。
人材教育も継続的に実施し、外部研修会や機械メーカーの視察などを通じて、原料や衛生面、機械操作の知識向上を図っている。個々のレベルアップで生産性を高め、働き方改革を推進。残業時間の抑制など従業員のワーク・ライフ・バランスの充実にもつなげる。