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新札幌乳業

主力ブランドの「小林牧場物語」シリーズ

100億円突破。消費者の〝欲しい〟にとことん応えていく

 乳製品メーカーとして知られる「新札幌乳業」。看板商品「北海道牛乳」含め、1㍑パック換算で年間約5700万本もの牛乳を全国に供給する。また、チーズやバター、ヨーグルトといった加工品も製造するなど、牛乳に偏らない幅広い商品カテゴリーが強みだ。

 1953年に前身の「札幌市厚別酪農業協同組合」を設立し、89年から現社名での営業を開始。2024年3月期決算で売上高105億円を計上し、創業以来初の100億円を突破した。

「牛乳は食のインフラということもあり値上げは難しいのですが、酪農業界での飼料やエネルギーの高騰を受け、2度、3度と乳価が値上がりしたことが大きい」と竹内久夫社長。

 道内の特産品とのコラボレーションに取り組む同社では、「JAひだか東」のいちご「すずあかね」を使用したヨーグルトや、道産ハスカップを用いた「ハスカップヨーグルト」もラインアップ。さらには地元企業と協働で菓子のレシピを考案して商品化するなど、〝美味しい〟を探究し、新たな価値の創出に取り組む。

 また、個々のライフスタイルが変化する一方で、「健康」「美」「栄養」など購買の動機も多様化する中、同社では今後の商品展開のテーマを「多品種・少量生産」としている。消費者ニーズの調査、分析などのマーケティングが重要なポイントだと捉えている。

「大量生産、大量消費の時代は終わりました。100年企業を目指す上で、進化していく」と竹内社長。その一環として、チーズカテゴリーの新商品「ちょこっとシリーズ」を今年4月に発売。ゴーダ、ラクレットなど全4種をそろえる。

「趣向性の高いチーズやヨーグルトは、購買層を明確化するとともに、どのようなシーンで食べていただくかを想像することが大切です。『ちょこっとシリーズ』は、移動中や仕事中などのちょっとした間食を想定し、少量のパッケージで開発しました」と竹内社長。

 一方、生乳の受け入れから貯乳、加工、出荷まであらゆる工程で衛生管理を徹底。生産工場では食品衛生管理システムHACCPと国際規格「FSSC22000」も取得している。食の安全への意識は今後さらに高まることは想像に難くない。変化する消費者ニーズにとことん応えていく方針だ。

4月に発売した「ちょこっとシリーズ」
竹内久夫社長
本社社屋と工場