池田熱処理工業
システムの刷新で利益向上と働き方改革を両立
「池田熱処理工業」は、鋼に加熱・急冷を施し硬化させる「熱処理」で道内トップシェアの金属加工会社。主に自動車や建設・産業機械に関わる大手メーカーを顧客とする。
一般・精密機械加工や医療・建設・工業用の油圧シリンダー製造も手掛け、2024年6月期決算の売上高・純利益は前年度超えを見込む。
「半導体供給が追いつきをみせ、国内の自動車生産が復調したことに加え、コスト上昇の価格への転嫁や積極的な営業受注が奏功した」と森田祐貴氏。
一方で今後の経済状況は先行きが不透明だ。原材料高騰や人件費増加に加え、自動車業界はEV化の波が押し寄せている。内燃機関構造と比べ部品点数が少ないEVの普及は、自動車関連産業への影響も大きいとされる。
同社では、さらなる厳しい時代の到来に備え、大手コンサルタント会社デロイト・トーマツ(本社・東京都)の協力のもと、昨年に会計管理システムを刷新。今年2月には独自に新たな生産システムを導入した。「高効率化」と「高利益率」で生き残りを図る。
「日々の鋼材価格の変動を反映して原価を明確化できるほか、これまでは難しかった部門間損益なども簡単に数値化できるようになった。また、工程管理機能の活用で属人化していた業務の共有化が可能になった結果、生産性も向上しています」と髙嶋一広氏。
このほか、働き方改革にも着手した。今年度から24時間稼働ながら中小企業の製造業では全国でも珍しい「完全週休2日制」を導入している。
池田隆久社長は「当社はこれまでも年齢や性別を問わず、社員が働きやすい会社を目指してきました。今後も常に改革を断行していく。さらに財務基盤も安定させ企業価値も高めていきたい」と語る。