国分北海道
食の共創圏の構築で、道内の1次産業の発展を目指す
「国分北海道」は、酒類・食品卸売業の道内大手。国内に7つのエリアカンパニーを持ち、2兆円規模の売上高を誇る「国分グループ」に属する。
2023年度は、売上高が984億円(前年比108・2%)、経常利益は7億8000万円(前年比133・6%)と、増収増益を達成した。
要因は、インバウンドなど人流の戻りによる観光需要と業務用販売ルートの回復、商品値上げに伴う収益改善や「エスコンフィールドHOKKAIDO」の新規販路拡大などが上げられる。
21年からは第11次長期経営計画をスタートしており、ビジョンに「共創圏の構築」を掲げている。諏訪勝巳社長は「道内の人口は急速に減少しており、推計によると40年には人口が約428万人になると予測されています。これは北海道の1次産業の衰退につながることから、当社はさまざまな関係機関とともに、従来の取引の枠を越えて連携し食の共創圏を構築することで、北海道の1次産業を守る取り組みを進めています」と語る。
その一環として、商社や旅行代理店と連携し道産品の輸出支援を進めているほか、自治体や農協・漁協・道内メーカーなどとのコラボで、道産素材を使った商品の開発と販売なども行っている。
18年からは、道産ぶどうを原料に池田ワイン城で30年熟成させた「島梟十勝ブランデー北海道熟成30年」を販売。今年1月には宗谷海峡の海塩を使った「北海道白いレモンサワーの素」といった新商品も販売している。
また、1次産業の未来を担う若手育成を目的に、産学連携も推進。21年からは静内農業高校の学生に、同社の社員が商品開発の事例紹介や食品流通の仕組みなどをレクチャーしているほか、昨年12月には道内の食品メーカー、小売企業と共同の学生向け「合同企業セミナー」も開催した。
さらに函館水産高校、小樽水産高校とは、生徒が発案し地元食材を使ったレシピを加工食品として商品化している。
「北海道の食のポテンシャルは高い。新しい食の価値を生みながら、道内外に発信を続けていきます」と諏訪社長。