エーエス
人々の生活や仕事を支える〝パイプのホームドクター〟
配管は床下や天井裏など見えないところに設置されるが、建物を快適に使う機能上で欠かせない設備だ。まさに黒子的な役割を果たしている。
配管工事業の「エーエス」は2004年の創業。3月に20周年の節目の年を迎えた。これまでに札幌市中心部の再開発工事にも参画しており「ココノススキノ」のホテル部分や「創世1・1・1区(さんく)」の高層棟などの配管工事を手掛けたほか、道外からの依頼も多く、日本一の超高層ビル「虎ノ門ヒルズ森タワー」(東京都港区)の空調工事も担っている。
配管工事には、衛生配管と言われるトイレやキッチンなどの給排水管のほか、換気や排気、冷暖房などで用いられる空調配管、スプリンクラーや消火栓などの消火設備で用いられる消火配管などがある。同社最大の特徴はこの衛生、空調、消火の全ての配管工事に対応していることだ。
會澤勝社長は「衛生配管と空調配管に対応している会社はありますが、衛生、空調、消火配管の3つに対応している会社は多くありません。それぞれの構造やシステム、施工方法、関連法律などが異なるため、対応するには多様な技術と知識が求められるからです」と話す。
とくに消火配管は、消防法施行令規則で細かな規定があるため、限られた人しか施工ができない。同社では、會澤社長が「ものづくりマイスター 配管」(厚生労働省)を有するほか、登録配管基幹技能者を多く揃えているため、これを可能としている。
「〝餅は餅屋〟と言いますが我々〝配管屋〟は、すべてのニーズに応えるべきだと考えています。他社ができないこと、やらないことを行うのが当社のモットーです」(會澤社長)
こうしたワンストップでの対応は工事現場で強みを発揮する。通常の現場は衛生、空調、消火配管を担当する会社が異なることが多い。しかし一貫受注することで、打ち合わせや搬入作業の頻雑さの大幅な軽減につなげている。
さらに、同社では自社工場で配管加工や部品製造も自前でおこなっており、工期の短縮にも貢献するなど、徹底した効率化を追求している。
「さまざまな病気を治す総合病院のような〝パイプのホームドクター〟を目指しています。当社の仕事の成果は、目に見えないところに隠れていることがほとんどですが、多くの人々の生活や仕事を支えることができる。これこそが当社の誇りです。『配管のことならエーエスさんに頼めば間違いない』と言われる会社であり続けたいです」と會澤社長。