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伊藤機械製作所

ワイヤー式巻上機の完成品

創業121年の伝統と技術でダムと河川を守り続ける

 ダムは水の貯蔵や河川の氾濫を防ぐなど、生活する上で誰もが恩恵を受けているインフラ設備だ。安定した稼働を担保するには、長期の耐用年数を想定した設備設計や製造、メンテナンスが不可欠といえる。

 この分野を支えているのが、今年で創業121年を迎える「伊藤機械製作所」だ。ダムや河川に設置されている水門(ゲート)、巻上機(水門開閉装置)、水に流入した不純物を取り除く除塵機などの設計、製造、施工、修理を主事業としている。

 実績は札幌市の藻岩ダムや豊平峡ダム、泊原子力発電所(古宇郡泊村)の水門や巻上機、鉄製階段の製造・設置から、岩松発電所(上川郡新得町)の移動式自動除塵機の設置にも携わるなど、全道で施工を担う。

 このように同社は、長年にわたり電力会社からの受注とリピートが多数を占めてきた。その理由を伊藤真一社長は「当社は〝どんな状況下でもお客さまに真摯に向き合う〟という創業時から続く考え方があります。その姿勢を崩さずに、お客さまの要望に徹底して応えてきたからこそ今がある」と語る。

 また、長年にわたり蓄積された高い技術力も同社の信頼を底上げしている。製造する設備の仕様は現場ごとに異なり、大量生産はできない。そのため、設計段階から現地に赴き入念な調査を実施する。

 この現地調査と図面作成を担うのが伊藤社長だ。30年以上の現場経験をもとにした鋭い観察眼を生かし、仕様変更時には数㍉の誤差も調整するなど、常に高い精度を保っている。

 製造は本社屋に隣接した工場で行う。技術者は若手からキャリア20年以上のベテランといった16人が在籍。年代関係なくコミュニケーションも活発で、技術研さんにも積極的な人材がそろうなど、向上心の高い人材が多い。

 伊藤社長は「当社の技術は先代たちから継承し磨き上げてきた。長い歴史の中でここまでやってこれたのは、諸先輩方のおかげであり〝誇り〟といえる。それを次世代に継承していきます」と語る。

 そのための人材確保にも注力。若手社員向けの奨学金返済サポートといった手厚い社内制度を設け、安心して働けられる体制も整備している。

「若い人にモノをつくる楽しさを伝えたい。良い製品をつくりたいという気概を持った人を全力でサポートしていきます」と伊藤社長は意気込む。

高いスキルを身に付けている技術者
伊藤真一社長
札幌市東区にある本社社屋
本社社屋に隣接する製造工場