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伊藤機械製作所

岩松発電所に設置されている移動式自動除塵機

ダムや河川の安全を守り続け、創業121年を迎える

 今年で創業121年を迎える「伊藤機械製作所」。長年にわたり、北海道の発展とともに歩んできた老舗企業だ。

 創業時は馬車の車輪修理に携わり、戦後まもなく産業機械の修理事業に業容を転化。1968年頃から現在の主事業である河川やダムに設置されている水門(ゲート)、巻上機(水門開閉装置)、除塵機などの設計、製造、施工、修理事業で事業を拡大してきた。

 長年培ってきた技術と経験で顧客ニーズに応えており、現在は電力会社からの受注が多数を占めるなど、安定した売り上げを確保している。

 施工実績は、札幌市の藻岩ダムや豊平峡ダム、泊発電所(古宇郡泊村)の水門や巻上機、鉄製階段の設置をはじめ、今年3月には昆布発電所(磯谷郡蘭越町)の水門と巻上機の新設工事なども担当した。

 伊藤真一社長は「さまざまな引き合いをいただけるのは、仕事に対する姿勢を変えず愚直に取り組んできたことが評価されたと考えています」と語る。 

 中でも、特に高い評価を得ているのが〝適応力〟の高さである。

 伊藤社長は「現場によっては、仕様変更が頻繁に発生するケースもあり、対応に手間取ると工期の遅延など重大な問題にもつながります。当社は図面作成から施工まで全工程を一貫しているため、こうした事態にも迅速かつ柔軟に対応し精度の高さを担保しています」と語る。

 伊藤社長は30年以上の現場経験を有し、現在も図面作成に携わる傍ら現場にも出向く根っからの職人。この現場第一主義が同社への信頼を底上げしている。

 一方で、人手不足の解消が喫緊の課題となっている。

 伊藤社長は「次世代の人材の獲得は急務ですが、当社では奨学金返済のサポート制度など、人材の受け入れや安心して働ける体制を整備しています。今後もあらゆる施策を打ち出して150年、200年と続く企業を目指していきます」と伊藤社長は意気込む。

伊藤真一社長
製造は繊細で高い技術が求められる
1951年当時の様子。現在の札幌市中央区南1条東6丁目に本社を構えていた