ほっかいどうデータベース

北海道武蔵女子大学・北海道武蔵女子短期大学

町野 和夫 学長
(まちの・かずお)1957年生まれ。80年京都大学経済学部経済学科卒業。三菱総合研究所を経て、96年ノースカロライナ大学チャペルヒル校経済学部大学院博士(Ph.D.)を取得。北海道大学経済学部助教授、同大大学院経済学研究科・経済学部教授を経て2020年から現職。

4年制大学を新設。ビジネスの中核で活躍する女性を育成

――今年度から4年制大学を新設しました。

町野 短大の経済学科を改組する形で経営学部経営学科を設置しました。これまでとは異なる新しい経営学部ということで、従来の経営学以外に情報やデザインも学べるなどアップデートしたカリキュラムです。それからPBL(課題解決型学習)にも力を入れています。入学当初から段階的に導入し、3、4年の専門ゼミに結びつけます。短大でもPBL型の授業を盛り込むなど4大の特徴を取り込んでいます。

――設置理由について。

町野 高校生のニーズが前述のような新しい教育内容を求めていることが分かってきたからです。 

――今年の入試状況は。

町野 4年制大学は定員80人のところ、入学者は82人でした。短大は教養学科と英文学科の2学科で定員300人に対し8割弱の入学者です。航空業界を目指す学生に人気があった英文学科は前年に比べてやや増加しましたが、まだまだ戻りは緩やかです。既に回復していますが、コロナ禍の影響で採用が一時的に減少したことが影響したと思います。

――資格取得は。

町野 一般的に短大は幼児教育や福祉など、職業に密接した学科が多く、専門資格の取得を目指すというケースが多いです。しかし本学は全国的にも珍しく教養や英文、経済など4年制大学のようなカリキュラムになっています。また短大でありながら「図書館司書課程」を付設しており、毎年20人前後が司書資格を取得しています。また「ビジネス教養課程」では学生ではなかなか合格しない秘書検定1級に合格した学生もいます。

――就職の状況は。

町野   「就職の武蔵」と社会から評価をいただいていまして毎年96~97%と高い就職率です。有名企業も多く「武蔵の学生を採用したい」と直接声をかけてくださる企業もある。他大学の大学案内では主要どころのみを就職先として掲載するケースが多いですが、本学は自信を持って全ての就職先の企業名を公開しています。

――貴学が考える「社会から求められる人材像」や「進化する教育」について。

町野 企業の中核を担う人材を育てたいと考えています。4年制大学の経営学部開設を検討中に企業にアンケートを取ったところ「女性の管理職を増やしたい」という回答が多くありました。しかし世界に比べると、北海道はもちろん日本全体で見ても女性のリーダーや管理職は少ないです。そこで優れた女性を社会に輩出することを1つのテーマとしています。

リーダーの在り方についても昔は、自分が先頭になってみんなをぐいぐいと引っ張っていくというイメージでしたが、これからはチームワークを大切にして同じ目標に向かう協調型のリーダーシップが必要です。そのためにも、幅広く教養を身につけることが重要という考えでカリキュラムを組んでいます。

――来年度以降の計画について教えて下さい。

町野 今年同様に定員充足を継続することです。短大は長く教養学科、英文学科、経済学科の3学科体制でしたが、来年度から1学科3コース制にします。教養学科のなかに教養コース、経営・経済コース、グローバルコミュニケーションコースを設置します。

英文学科は、教養学科の中のグローバルコミュニケーションコースとして改組します。これにより、航空観光業界を目指す学生だけではなく、2年目になって、他の分野も学びたいという意識が芽生えた学生にも柔軟に対応できます。

過渡期的な措置としてすでに今年度は教養学科に教養コースと経営・経済コースが誕生しています。より幅広く学べる体制を敷きました。

――オープンキャンパスが好評のようですね。

町野 昨年のオープンキャンパスでは総合型選抜を検討している高校生を対象に、報告書作成ゼミを開催しました。単なる情報の提供ではなく、総合型選抜に向けてどういう準備をしなければいけないのか、小論文試験対策やプレゼンテーションに向けてのアドバイスをグループワーク形式で実施しました。今は高校でも行われるようになった探究型授業との接続を考えたプログラムになっています。

実際に今年入学した学生のうち4年制大学と短大合わせて60人ほどは、昨年のオープンキャンパスで魅力を感じ総合型選抜で入学してくれました。今後も続けていきたいと思っています。

――今後は、よりグローバルな部分を伸ばす教育を行う。

町野 本学には英語だけではなく、韓国語の科目や中国語の入門科目などがあります。しかし今後はもう少し文化的な要素も取り入れ、より深く学べる環境を提供したいです。語学研修先も英語圏以外にも広げることを検討しています。

1967年に開学。少人数教育で人間的交流を大切にする
次世代の女性リーダーを育成する