ほっかいどうデータベース

ほくうん

需要に対応すべく毎月増車を続ける

物流の道内大手。道民、荷主、仕入れ先の付託に応える

 北海道にとって物流の重要性は語るまでもない。しかし物流を支える企業の多くは車両価格や燃料代の高騰、人材不足が経営を圧迫している。2024年問題への対応も必要だ。

 そうした中で新年度も順調なスタートを切ったのが「ほくうん」だ。創業38年で道内トップクラスの物流会社に成長。20年連続で増収増益を達成し、23年の売上高は過去最高となる120億円を超えた。

 主軸は北海道と本州間の輸送で、沖縄まで全国を網羅する。顧客は大手の宅配や引っ越し会社、通販会社、家具メーカーなど多岐にわたる。道内外の卸売市場からの委託を受けて、農産物の輸送も手掛けており、北海道の1次産業も下支えしている。

 さらに近年は、北海道新幹線の札幌延伸や再開発計画により、建築土木資材やセメント、杭などの重量物輸送も伸長している。

「10㌧車を中心に現在は道内外で630台を保有しています。顧客の依頼に応えるため、毎月4、5台を増車している」と森高義男社長。

 特徴的なのが、高いコスト意識だ。収益性を高めるため、車両1台ごとの損益計算が1日単位でできる仕組みを構築。翌朝に数字が把握できるようにした。稼働していない車両は自動車保険を外し、燃料の仕入れ先を毎週見直すなど、支出の管理を1円1銭に至るまで徹底している。

 また、さらに長距離輸送ではカーフェリーを積極的に活用する。燃料代や通行料の節約につながるほか、走行距離が抑えられるため車両の延命になる。乗船中はドライバーが休息できるメリットもある。

「当社が成長できたのは、荷主はもちろん金融機関やトラックディーラー、燃料会社、船会社など仕入れ先のおかげです。利益を出し続けることで信頼に応えてきた」と森高社長。

 人材採用では、給与面を手厚い待遇とするほか、年齢や運転歴に関わらず全てのドライバーに新車を支給することが効果を発揮している。23年からは本社近くに複数の社宅も設置した。

 森高社長は「当社を存続させることが道民生活を支えることにつながるという自負があります。しかし、昨今の経済状況は当社の経営努力だけでは限界がある。荷主には料金改定や積み卸し時間の短縮なども訴えていきます」と語る。

 

本社社屋(札幌市東区)
森高義男社長