電力のプロ集団「北海道電気相互」のEVサービスを徹底解明!
北海道のEV普及台数は、人口1万人当たり約4・3台と全国最下位。普及が進まない最大の要因は、充電スポットの不足と言われる。「北海道電気相互」(本社・札幌市)は、国内独占販売の「EV急速充電器」で道内のEVシフト化の加速を目指す。
急速充電機を設置し充電インフラを整備
EV(電気自動車)の性能は日進月歩で向上しているものの、充電スポットは絶対的に不足しており、普及の足かせとなっている。特に北海道のような積雪寒冷地では、低温によるバッテリー性能の低下で、充電時間や航続距離などの性能も低下するなど、充電施設の拡充は必須条件といえる。
電力を〝つくる・ためる・供給する〟に特化した製品開発やサービスを提供する「北海道電気相互」は、独自の技術を結集した「EV急速充電器」を開発、昨年10月から販売を開始している。
政府は「2035年までに、新車販売でEVの比率を100%にする」と目標を掲げているが、国内のEV普及は今ひとつ進んでいない。充電時間や航続距離など、さまざまな要因があるが、最大の要因とみられる充電スポット不足の問題解決に一役買うのが、同社の「EV急速充電器」と「移動式給電車」だ。
一般的な充電器の設置費用は、1台約400~500万円程度だが、同社の「EV急速充電器」は約300万円程と低廉な価格を実現。価格には設置プランの策定から施工までが含まれており、同社がワンストップで対応する。
高橋伸和社長は「フランス製の充電器を輸入し、国内仕様に変更して昨年10月から独占販売を開始しました。世界統一の急速充電規格『CHAdeMO(チャデモ)』に対応しており、バッテリー残量が5%以下から満充電までにかかる時間は、普通充電器の約14時間に対して約2時間30分で完了します。利用の回転率が上がれば設置企業の収益性の向上にも直結します。また、設置時の補助金の給付額も普通充電機より有利です」と語る。
支払いは、キャッシュレス決済(GMO)にも対応。利用者のスマホに充電開始や終了、料金情報が自動通知される機能も搭載する。また設置先は充電料金と時間を任意に設定できるほか、最短で翌営業日には入金されるなど多くの利点がある。
設置に適した場所として高橋社長は「コンビニや商業施設といった人流が多い場所はもちろん、賃貸アパートやオフィスの駐車場も新たな収益源となります。また、意外な所では使用時以外は駐車スペースに余裕がある斎場も有効です。設置をはじめ、運用と保守、収益バランスなど、気になることは何でもご相談下さい」と語る。
一方、EV車の電欠(バッテリー残量ゼロ)対策として給電車を用いた充電サービス「EV電気の宅配」も提供している。
大型車両に発電機とEV用の急速充電器を搭載し、いわば〝動く充電スポット〟として全道を網羅。顧客から指定された場所に出向いて充電するサービスで、電欠時の緊急充電に役立つ。
高橋社長は「北海道は都市間距離が長く、充電スポットが限られているため、EV車の〝電欠リスク〟は他の地域より高い。現状は、ロードサービスを呼び車両を近くの充電スポットにレッカー移動するしか手が無い。当社のサービスは、専用アプリも整備し、GPSを用いてワンクリックで給電車を呼ぶことが可能です」と語る。
災害時の電力供給に威力を発揮
また同社は、防災対策やBCP(事業継続計画)に有効な電力サービスを提供し、我々の暮らしを陰から支える企業でもある。
この充電サービスは災害時のBCP対策にも有効だ。元日に発生した「令和6年能登半島地震」でも大規模な停電と断水が発生し、避難所や公共施設などの早期回復が求められた。同社ではこうした事態に電源車の派遣はもちろん、オーダーメード製造・販売にも対応する。
「この度の地震でお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみを、また被災された皆様にお見舞申し上げます。当社の電源車は、非常用のバックアップ電源としても機能します。自治体や企業が配備することで早期の電源復旧を図ることができる」と高橋社長。
EMSでエネルギー管理と制御を実現
このほか同社では、電力制御の「EMS(エネルギー・マネジメント・システム)」も得意としている。
商業施設や物流倉庫といった大容量の電力が必要な場所は、電力コストが莫大となる。そうした環境に有効なのが「ecomame(エコまめ)」だ。
電力の使用状況をはじめ、空調制御や冷凍冷蔵庫の温度管理をクラウド上から行うことで、電力の〝見える化〟と自動制御を行う。特に電力の使用量が多いピーク時の電力カットに力を発揮する。
「暮らしや事業活動のお役に立つことを念頭に、モノづくりに注力している。北海道から全国、そして世界に向けて求められる会社を目指していきます」と高橋社長は語る。