北開技研工業
防水工事を通じてスポーツ振興やアスリート支援に注力
雨や雪から建物を守るには防水工事が重要だ。その工法や材料は屋上やバルコニー、外壁、地下など用途や種類によって異なる。中でもアスファルト防水は、数ある防水工法の中で最も歴史が古く、信頼性が高いもので知られる。雪が多い北海道で最適とされるが、熱を用いて施工するため、仕上がりには職人の腕が関わってくる。
同工法で国内屈指の実力を有するのが「北開技研工業」だ。工法を熟知した職人が数多く在籍し、道内はもとより、日本各地で施工を担っている。
さらに同社は、アスファルト防水に独自の改良を加えた「HT工法」の特許も有する。耐火・断熱性能が高いのが特徴で、防水面の下地にコンクリートを施工しないため、従来工法よりも工期の短縮とコストの削減が可能。軽量で建物への負荷も小さいため、工場の屋上など面積が広い大規模建築物で普及が進む。
このHT工法を屋根に取り入れたのが、今年3月に北広島市に開業した新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」。天然芝でありながら開閉式屋根を有するスタジアムでいまや北海道のランドマークともいえる存在だ。
一般的にHT工法は平面で用いられることが多いが、同施設は積雪に耐えるため、切妻型の三角屋根が採用されている。重量や耐久性などに課題があったが、同社が設計段階から携わることで施工が可能になった。
また、アスファルト防水の特徴として表面がざらついており、落雪防止にも効果が認められたという。
中川健社長は「〝世界がまだ見ぬボールパーク〟を合言葉に足掛け5年のプロジェクトでした。歴史の1ページに社名を刻めたことはもちろん、他社の高い技術力を目の当たりにできたことも良い経験となった。地域づくりやスポーツの未来に携われたことを誇りに思う」と話す。
同社は、アスリート支援では社会人野球「札幌ホーネッツ」のスポンサーにもなっている。
「選手を雇用して働きながらプロを目指す社会人を応援するほか、引退後に弊社の職人となった人材もいます。それぞれの未来を支えていく」と中川社長。