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北開技研工業

ドローンを用いることで劣化部位を短時間で診断できる

ドローンの活用で高品質かつ低価格な防水工事を実現

 漏水工事や予防的な改修工事、大規模修繕を行うには、事前に屋上や屋根などの防水面の診断や調査が必須となる。

 しかし、分譲マンションは高層化しており、屋上にも給水塔やアンテナなどが多数配置され作業の難易度は高くなっている。場所によっては足場の設置や高所作業車の手配、安全対策などのコストがかかる。

 また診断方法も、ベテランの調査員の目視など経験や勘に頼るものが主流のため、人材不足も相まって工事の長期化や価格上昇につながっていた。

 アスファルト防水の施工を得意とする防水工事業者「北開技研工業」は、2025年度からドローンを本格的に導入。主に屋上や外壁の防水面の劣化診断や漏水調査に活用している。

 すでに超高層マンションの多い首都圏の管理組合では主流になりつつあり、同社でも昨年、函館市のフェリーターミナルや岩見沢市内の大型倉庫の屋上で試験運用を実施。ドローン検査のノウハウを蓄積した。

 中川康専務は「ドローンに搭載した高画質なカメラで建物の状況を動画で撮影します。赤外線カメラを使うことで漏水部分も発見しやすく、作業は数時間で済む。既存検査に比べ金額も4分の1程度に抑えられる。品質を担保しつつ工事費や工期も削減できます」とメリットを強調する。

 運用は、空撮や農薬散布などで実績があり、国土交通省認可のドローンスクールで各種講習を担う「ドリームベース」(本社・札幌市、伊豆正則社長)と連携する。同社は遊技機や掃除ロボット、次世代電動モビリティの販売などを行う「ゼンリン」の関連会社。

 ドリームベースの伊豆太希取締役は「当社が保有するドローンは最大積載量が37㌔㌘ですが、今後は55㌔㌘まで可能な大型機の導入を予定しています。検査だけではなく屋上への防水資材の運搬なども可能になり、さらなる迅速化・省力化が期待できます」と話す。

 また、北開技研工業では独自の運用を見据えオペレーターを育成中。その習熟と福利厚生をかねてドローンサッカーチームも編成し、全国大会を目指している。

「作業時のプライバシー対策も万全です。撮影前に住人に事前周知を徹底し、完了後はデータを削除するので安心してご利用下さい」と中川専務。

中川康専務(左)と伊豆太希取締役
2社でドローンサッカーチームを編成
オペレーターの育成訓練は若手社員の福利厚生としても機能している