世界初。家畜ふん尿からギ酸の製造事業をスタート
岩田地崎建設(本社・札幌市)や興部町などが、メタンガスからギ酸を製造する世界初の技術を用いた実証事業をスタート。本格的な稼働に向けて一歩前進した。
実証事業を開始したのは、岩田地崎建設と紋別郡興部町、大阪大学、化学品メーカのMORESCO(本社・兵庫県神戸市)が、5月に設立した「興部カーボンニュートラルイノベーションコンソーシアム」。
酪農などで発生する家畜のふん尿や生ごみ、下水汚泥などから発生するメタンを家畜飼料添加物などの化学品原料として広く使われるギ酸に生成する。
大阪大学が開発した世界初の「メタン光酸化技術」を用いたもので、事業は2021年からスタート。23年3月に興部町内に研究棟を完成しパイロットプラント初号機を作製した。実証事業は、26年3月末までに年間10㌧のギ酸製造装置を開発してギ酸のほかメタノールを生成し、年間で17.8㌧の二酸化炭素を削減、全道展開すれば237万㌧の削減効果が期待できる。総事業は3億円。
9月25日の会見で関博之岩田地崎建設副社長は「ふん尿が宝の山になる取り組みで社会的価値が高い。脱炭素政策に大きく寄与できる」としている。また硲一寿興部町長は「ゼロカーボン北海道の実現につながる画期的な取り組み」、大久保敬大阪大学教授は「世界に広げていける技術へ成熟させていきたい」、両角元寿モレスコ社長は「連続生産プラントの設計やシステムの最適化に全力を注ぐ」と語った。