松田整形外科記念病院
脊椎疾患全般が専門。低侵襲手術で患者の負担を軽減
寺島嘉紀副院長の専門は、首や腰などの脊椎や脊髄、神経に関わる病気とけがだ。札幌医科大学附属病院整形外科などで先端治療の経験を積み、脊椎手術において豊富な経験と実績を持つ。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医としても活躍している。
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や腰椎分離症などの一般的な手術はもちろん、後縦靱帯骨化症や脊椎脊髄腫瘍、脊柱変形など、道内で限られた医師しか扱えない疾患の手術も手掛けてきた。
寺島副院長は「まず腰に痛みが発症し、次に臀部、下肢にかけて痛みが広がっていく場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります」と話す。
この椎間板ヘルニア治療では、顕微鏡を用いた低侵襲手術を推奨する。最大の特徴は、皮膚切開が小さく筋肉を傷めにくいこと。さらに、部位を拡大して立体的に確認し、光源で術野を照らしながら施術ができる。
血管の走行を確認しやすく、神経を愛護的に操作することが可能であり、抜糸の必要もない。これまでの術式に比べ入院期間を短縮でき、早期の社会復帰を目指せる。
また、40代以上で発症が多いとされる腰部脊柱管狭窄症では、除圧術を推奨している。
同術式は金属を入れずに神経の圧迫を取り除く方法だ。腰の皮膚を切開して棘突起を縦に割り、神経を圧迫している椎弓や黄色靭帯と椎間関節の骨棘を削る。神経の圧迫を取り除いたうえで、棘突起や皮膚などを修復していく。
「腰部脊柱管狭窄症は椎間板ヘルニアとは違い、腰に痛みを感じないことも多いです。臀部と下肢にしびれや痛みが走るのが特徴です。腰が痛みの原因ではなさそうに思えても、まずは腰を疑ってみるべき」と寺島副院長は警鐘を鳴らす。
一方で「治療法は手術だけではない」とも話す。札幌医科大学附属病院に在任中にペイン(痛み)研究も行っていた。病状によっては手術ではなく、ブロック注射などによる保存治療も勧めている。
「痛みのメカニズムを理解することが大切です。どこがどのように痛いのかを的確に判断することで、保存治療だけで症状が改善されるケースもあります。日頃から体幹の柔軟性と筋力を高めることで予防もできます」と寺島副院長。