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松田整形外科記念病院

寺島 嘉紀 副院長
てらしま・よしのり/2000年札幌医科大学卒業。滝川市立病院整形外科診療部長などを経て21年4月に同院着任。日本専門医機構認定整形外科専門医。医学博士。

診察に最重点を置き〝患者ファースト〟の治療を提供

「〝痛みのメカニズムを理解する〟これが何より大切です。どこがどのように痛むのかを的確に判断することで、保存治療だけで症状が改善されるケースが多々ある。患者さんの症状の訴え方も千差万別なため、診断のステップを最も大事に、丁寧に行うことを心掛けています」

 寺島嘉紀副院長は、首や腰などの脊椎や脊髄、神経に関わる病気とけがが専門。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医としても活躍中で、札幌医科大学附属病院整形外科などで先端治療を数多く実施してきた。脊椎手術において豊富な実績を有しており、知識と経験に基づき、患者にとって適切な治療方法を提案している。

 札医大附属病院在任中は、ペイン(痛み)研究でも研鑽を積んでおり、ブロック注射などによる保存治療を優先して勧める。手術はあくまでも〝最終手段〟と位置付けており「避けられる手術は避けるべき」という考えが根底にある。

 それでも手術が必要な場合は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や腰椎分離症など、一般的な疾患はもちろん後縦靱帯骨化症や脊椎脊髄腫瘍、脊柱変形など道内でも限られた医師にしか扱えない疾患の手術にも対応してきた。

「腰に痛みが発症し、次に臀部、下肢にかけて痛みが広がっていく場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります」

 椎間板ヘルニア治療では、顕微鏡を用いた低侵襲手術を推奨。皮膚切開が小さく筋肉を傷めにくいことが特徴だ。  

 顕微鏡で部位を拡大して立体的に確認し、光源で術野を照らしながら施術が可能なため、血管の走行を確認しやすく、神経を愛護的に操作することができる。抜糸の必要もなく、従来の術式に比べて早期のスポーツ復帰や社会復帰を目指すことができる。

 40代以上で発症が多いとされる腰部脊柱管狭窄症では、除圧術を推奨している。

 この術式は、金属を入れずに腰の関節の動きを温存して神経の圧迫を取り除く方法だ。腰部の皮膚を切開して棘突起を縦に割り、神経を圧迫している椎弓や黄色靭帯と椎間関節の骨棘を削り神経の圧迫を取り除いたうえで、棘突起や皮膚などを修復していく。

「腰部脊柱管狭窄症は椎間板ヘルニアと違い、腰に痛みを感じないことも多い。臀部と下肢にしびれや痛みが走るのが特徴です。こうした症状から腰が痛みの原因ではなさそうに思えますが、まずは腰を疑ってほしい」と訴える。

 

顕微鏡手術では繊細な技術を発揮する
地下鉄南北線北18条駅から徒歩2分。駐車場も完備