新和ホールディングス 2023年「原点回帰」で攻勢へ
パチンコ店「プレイランドハッピー」を道内で展開する「新和ホールディングス」(本社・札幌市、新井修社長)は、アミューズメント事業、不動産事業、航空機リース事業を3つの柱として各事業の強化を推進している。新井修社長に事業展開や業界の現状、今後の展望などを聞いた。
主力のアミューズメント事業で反転攻勢へ
ここ数年のパチンコ業界は規則改正に伴う、いわゆる出玉規制や新型コロナウイルス感染拡大による影響で厳しい局面が続いている。全国的に淘汰や再編が加速し、道内でも中小パチンコホールのみならず、大手有名ホールの閉店や撤退が相次いだ。
札幌圏を中心に20店舗を運営する同社の新井修社長は「コロナ禍で厳しい時期もあったが、現在は来店客数もかなり回復し既に底は打った。今後は着実に改善していく」と先を見据える。
反転攻勢への切り札として期待されるのが次世代遊技機と言われる「スマート遊技機」だ。スマートパチスロやスマートパチンコがこれに該当する。遊技客がパチンコ玉やメダルに直接触れることなく遊技を楽しむことが可能で、出玉情報などは電子化(デジタル計上)され、コロナなど感染症対策にも効果的で玉やコインの持ち運びの負担からも解放される。
プレイランドハッピーではスマートパチスロをすでに昨年11月に導入。今後スマートパチンコも逐次導入予定だ。
「全てスマート遊技機に置き換わるには5年はかかるだろう。かつてのファン層の取り込みや新たな顧客開拓につなげたい」(新井社長)
第2、第3の事業も着実に推進する
一方で、昨年は不動産事業、航空機リース事業ともに積極的な投資を継続し、着々と足場を固めた。
昨年3月に航空旅客機エアバス社製A321neo(2021年製造)を購入。アメリカン航空とリース契約を締結した。同社では、既にボーイング社製737MAX8を所有しており、次世代の最新鋭型機体を2機揃えたことになる。欧米を中心に航空旅客需要は急回復しており、航空業界はコロナ禍の苦境から脱しつつあるといえよう。
新井社長は「機体の購入は米ドル決済、幸い円安が進む直前に契約できた。毎月のリース料収入もドル建てのため円安の恩恵を受けており、当初想定を大幅に上回る収益が確保されている」と語る。
不動産事業では、22年8月にグループ傘下の「新和リアルエステート」(本社・札幌市、新井修社長)が、札幌市内に同社初となる自社開発の賃貸マンションを着工した。地上14階建て店舗付き全91戸の規模で、地下鉄東豊線「栄町駅」至近の好立地。24年2月の完成が待たれる。
さらに9月には、東京都港区内に賃貸マンションを取得。東京メトロ「麻布十番駅」から徒歩2分と利便性が高く良好な住環境で稼働状況も順調だという。
新井社長は「東京都内の所有物件は4棟目となりました。都心では10棟を目標にしています。札幌市内の自社所有地でも再開発の構想があり、今後具体化していきたい」と、不動産事業を強化していく意向だ。
3年振りにGCオブ・ザ・イヤーを開催
コロナ禍で中止を余儀なくされていたグループ内の活動も再開。昨年11月10、11日の2日間にわたり、札幌市内のホテルで「GCオブ・ザ・イヤー2022」を開催した。これはグループの1年間の事業活動を総括し、新井社長自ら経営方針を直接社員に語りかける重要な位置付けの行事。全社員を集めての開催は3年ぶりとなった。
第1部は新井社長の講話がメイン。特に強調したのが「原点回帰」だ。「貧しく厳しい創業期こそが当社の『原点』。逆境をバネに初心を忘れず、また順調な時も決して慢心せず力を蓄積してきたからこそ今日がある」との思いが込められている。
また社員に対しては「入社時の夢や目標、意欲、決意などの初心を忘れず、今一度『原点』に立ち戻ってほしい。これまで通りのやり方が最善とは限らない。更なる成長のために失敗を恐れず、何事にも前向きにチャレンジしてほしい」と檄を飛ばした。
加えて「経営者として一番大事なことは社員の生活を守る事」という信念を示し、昨今の急激な物価高騰を憂慮。社員への影響も考慮して、生活支援のための一時金「インフレ手当」の支給を約束。支給額は一人当たり10万円を最低限として調整中だという。
第2部の懇親会は日頃の社員の奮闘を労う場。感染症対策の制約下で、久々の社員同士の交流に会場は和やかな雰囲気に包まれた。
最後は「一人ひとりが『原点回帰』の気持ちを忘れず、切磋琢磨し成長しよう」と締めくくり、23年の飛躍を誓い合い閉幕した。
道内におけるアミューズメント事業のパイオニアとして、23年も業界の最前線を走り続けていく。
■取材協力/新和ホールディングス 札幌市中央区北5条西6丁目2番地2 札幌センタービル25階 ☎011・221・8888