宮田自動車商会
新事業推進室を新設。自動車部品以外で販路拡大を目指す
LEDやEV関連の商品をラインアップ
1921創業の自動車部品卸の道内最大手。近年は地場の中小自動車整備工場から難しい業務を請け負うなど、部品販売だけではなくサービスにも注力している。
一方、100周年を契機に自動車部品以外の「環境」「移動インフラ」「先端技術」の3分野に積極的に参入。商社機能を生かし国内はもとより世界で商品開拓を行う。
「22年4月に新事業推進室を設置しました。脱炭素や省エネ、労働力不足解消などの課題に対して『宮田だからできる』という提案をしていきたい」と吉田英史常務。
メンバーは吉田常務以下、服部真典氏、謝哲軒氏、八角やすみ亮主任の4人。入社4年目ながら社内公募で採用された八角主任は「北海道は本州に比べ情報が遅れている。いち早く最新情報を提供するだけでなく、北海道から発信できるようにしていきたい」と話す。
同セクションの扱う商材は多岐にわたる。例えば台湾のシンユー社製のLEDライトは他社製品と比較して明るく、長寿命なのが特徴。すでに室蘭市のガソリンスタンド「Dr.Drive室蘭日の出店」で導入されている。
「360ワットの水銀灯26灯使用を100ワットのLEDに変更したところ、明るさは平均250ルクスから平均500ルクスにアップ。消費電力が3分の1になった」と服部氏。
EV(電動)フォークリフトもその1つ。中国の大手電動自動車メーカー「BYD」社が製造するもので、同社は北海道総代理店にもなっている。
「最大の特徴はリチウムイオン電池を採用し、従来の鉛電池とは比較にならないパワーや稼動時間を得られる点です。短時間の充電で8〜10時間稼動し、ランニングコストを大きく削減できる」と謝氏。
また、新たな移動手段として注目されているのが次世代超小型電動モビリティ「Future GOGO!」だ。大手企業や観光事業者など多くの団体から問い合わせが相次いでいる。公道を走るため普通自動車免許は必要となるが、ヘルメットは不要。3時間のフル充電で50キロメートルの距離を走行可能だ。
「3輪走行の安心感やカラフルな色使い、見た目のかわいらしさが興味を引いている。楽しい乗り物なので、移動だけではなく、観光やレジャーのアクティビティの一つとしても提案したい」と八角主任。
省力化で農業、医療分野にも貢献する
このほかにもさまざまな商材を扱う。「スマートグラス」は、眼鏡型の端末で情報をレンズに投影したり音声入力ができる。本社から現場作業をリモートで支援するといった使い方が考えられる。
また、自動運転技術を活用した「運搬ロボット」は、 茨城県の企業「Doog」が開発。倉庫作業のほか、収穫した作物を運ぶといった農作業の省力化に貢献できる。
さらに、神奈川県のダイソーが開発した乾燥減容装置「メルトキング」は、間接加熱で水分を蒸発させ生ゴミを最大50分の1に圧縮できる。また、医療機関などで発生する感染性産業廃棄物も滅菌処理によって一般ゴミとして処分が可能。処理コストを大幅に削減する。
これらは、11月10日開催の「2022北海道ビジネスEXPO」でも展示された。
「引き続き23年もラインアップ拡充とサポート体制の強化を図る。さまざまなマーケットとのタッチポイントを増やし、提案力を強化することで30年には新事業を柱の一つに確立させたい」と吉田常務。
新事業推進室のメンバー。左から謝哲軒氏、吉田英史常務、リモート参加した服部真典氏(モニター内)、八角亮主任