財界さっぽろ 2023年10月号のさわり

財界さっぽろ 2023年10月号

特集・函館“一触即発”

 本誌8月号で報じた函館市医師会の諸問題や9月号で実態をスクープしたJA新はこだての不祥事隠蔽など、函館を中心とした道南エリアの独自記事を集めた特集。

 函館市医師会については、失踪した前会長を始め数々の疑惑・問題が噴出する中、本誌記者が医師会新会長の大原正範氏を直撃。疑惑の渦中にいる事務局長や、医師会が運営する病院の元院長が隠然たる影響力を持つ中で取りざたされている“ある疑惑”についても詳報する。

函館市医師会病院 ©財界さっぽろ

 また函館市・北斗市など2市12町にまたがる13のJAが統合、設立されたJA新はこだては当時、財務基盤強化や共同販売など大合併時の“果実”を期待して誕生したもの。だが約20年がたった今、広大な面積に散らばる農家へのきめ細かいサービスはもはや不可能に。一方で各地区から選ばれた理事・監事の数はなんと33人もの大所帯。子会社の役員含め上部組織からの天下りまで抱えて組織は肥え太り、仮初めの果実を手にしている。

JA新はこだて本所 ©財界さっぽろ

 正組合員の戸数は20年で半減し、不祥事やガバナンスの欠如で職員の士気は低くなり、近年は年間1割以上が退職。この根腐れの原因は一体なんなのか。誰に責任があるのか。多くの関係者が明かすその実態を明らかにする。

 このほかJA函館市亀田の不祥事に新展開、閉館した地場百貨店「棒二森屋」跡地に山積する再開発問題で大泉潤市長の出方、次期衆院選で自民北海道8区候補予定者として、立憲民主・逢坂誠二氏に挑む向山淳氏の動向なども網羅した。

 

経営者必読 道内で相次ぐ「不当な課税」国税OB税理士が告発する!

 名古屋国税局で長年勤務した国税OBの税理士による実名告発をもとにしたスクープ記事。

 今年5月末、札幌国税局管内で「不当課税未遂事件」が発生したとして、国税OBで現税理士法人の代表が、同局長あてに上申書を提出したことを自社Webサイトで公表。同社の顧客がどのようにして国税局から不当な扱いを受けたのかを具体的に例示した上で「決して許されるものではない」とした。

告発者の税理士法人代表・大箸直彦氏 ©財界さっぽろ

 その後、このOBが代表を務める税理士法人の顧問先2社が、国家賠償請求を札幌地裁に提起。現在係争中となっている。本誌では氏の勇気ある告発によって暴かれた不当課税の実態を、4ページにわたり詳報している。経営者・経理担当者は必読の内容だ。

 

生産抑制で眼前に迫るバター危機 生乳不足の戦犯は誰だ?

 飼料を始めとする生産資材の高騰に加え、生産抑制や在庫対策での天引きに苦しみ続ける北海道内の酪農家。ガマンの限界はとうに過ぎた、という状況下で、業務用バターの供給制限が起きているという。

手前がホクレンビル、奧がJA北海道中央会などの入る北農ビル ©財界さっぽろ

 過去のバター不足の際は在庫量がいま以上に減少していた中、生乳の増産による解消を待つよう消費者に“言い訳”してきた国やホクレンだが、今回は生乳生産を各JAごとの割当量に厳しく抑制、さらに国の補助まで使い、まだ搾れる経産牛をどんどん廃用にしている最中での生乳不足。この状況をもたらしたのは国なのか、ホクレンなのか、各JAやそれを束ねる地区のJA組合長会、酪農政策を決めるJA北海道中央会なのか。その“戦犯”を明らかにする。

障がい者支援施設の移転問題で 紋別市民が知らない宮川市長の“裏の顔”

 紋別市郊外にある障がい者支援施設が移転問題に揺れている。といっても、その邪魔をしているのは現市長・宮川良一氏とその後援者らだというから驚きだ。

紋別市長の宮川良一氏 ©財界さっぽろ

 当該の施設は数十年経つという建物の老朽化や、市内の病院へ通院する入所者の利便性、居住時の快適性などから建て替えを検討。費用は自己資金と国の補助金や借り入れで賄うが、補助金申請の際に必要な地元自治体、つまり紋別市の意見書が判断材料となる。この意見書について、なぜか市が否定的意見ばかりを述べ、建て替えが先に進まず、入所者らが不便を強いられているという。背景を探ると、宮川氏の後援会の大物が関係しているという。いったい何故なのか、市の対応に疑問を抱かざるを得ない話ばかりだ。

「町長呼んでこい」「副町長やめちゃえ」余市町の火葬場移転で飛び交う暴言120分

 余市町では、町郊外の霊園に併設された火葬場を含む施設が老朽化極まっているため、数年前から建て替えを計画。いったんは現火葬場の敷地を活用することとなったが、建て替え工事の開始後、法面の崩壊が発生。是正工事の結果、建て替え用の敷地が狭くなり、予定の施設建設には不適合となってしまった。

余市町長の齊藤啓輔氏 ©財界さっぽろ

 このため、現町長の齊藤啓輔氏は議会手続きを経て候補地を決めたが、まちの中心部近くのため住民が反発。粛々と時計の針を進めようとする町サイドが開いた7月の説明会では、不在にしていた町長に対し、その不満があらぬ形で爆発した。