「ほくでんガス」をスタートした藤井裕北海道電力社長「エネルギーサービスの多様化を進める!」

藤井裕 北海道電力社長

 北海道電力が今秋、都市ガス事業に参入した。同社は電気を中核にエネルギーサービスの多様化を進めており、「北海道の暮らしと経済の発展に貢献したい」と意気込む。「ほくでんガス」の販売がスタートした10月1日、藤井裕社長に話を聞いた。

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北ガスの一般料金より必ず安い

 ――都市ガス事業に参入した経緯を教えてください。

 藤井 当社は、「北海道の皆さまに明るく快適な北国の暮らしをご提供し、北海道の将来の発展に全力で貢献したい」との考えのもと、電気を中核に、エネルギーサービスの多様化を進めています。

 2017年4月から始まった都市ガスの小売自由化によって、ご家庭を含むすべてのお客さまが、ガスを自由に選べる時代となりました。

 これまで通り、省エネやお客さまの快適な暮らしにつながる電化機器のご提案や、運輸・産業における電化を推進するとともに、今回の都市ガス販売開始をきっかけとして、電気と都市ガスを組み合わせたセット販売など、ガスを必要とするお客さまのニーズに寄り添ったご提案を積極的におこなっていきます。

 こうした取り組みによる、低炭素社会の実現を通して北海道の持続的な発展に貢献するとともに、お客さまのご満足度向上を目指し、当社をお選びいただけるよう努めていきます。

 ――「ほくでんガス」の対象顧客や料金プランは。

 藤井 今回は、調理や給湯などで都市ガスをご利用のお客さまにオススメの「ほくでんガスプラン(一般料金)」をご用意しました。

 北海道ガスの一般料金より必ずお安くなるように設定しており、当社の電気料金プランとセットでご契約いただくことで毎月のガスご使用量にかかわらず、5%おトクになります。

 電気のご契約が当社の「従量電灯B」のお客さまであれば、電気の契約を「エネとくポイントプラン」へ、ガスのご契約を北海道ガスの「一般料金」から、当社の「ほくでんガスプラン(一般料金)」に変更していただくと、年間で約6000円相当がおトクになります。

 ――年末までに新規で契約すれば、さらなる特典もあるそうですね。

 藤井 10月からの販売開始にあわせ、12月31日までに新規ご契約のお申込みをいただくと、ガスの基本料金を5カ月分無料とさせていただく、大変おトクなスタートキャンペーンを実施しています。私も自信を持ってオススメできるプラン・キャンペーンですので、ぜひ、この機会に「ほくでんガス」へのご加入をお願いいたします。

 ――ほくでんガスの供給エリアや加入の手続きについては。

 藤井 石狩LNG基地からガス導管がつながっている、道央圏の札幌市・小樽市・石狩市・北広島市・恵庭市・千歳市(泉沢地区を除く)の都市ガスを利用されているご家庭のお客さまにお届けさせていただきます。

 他社から「ほくでんガス」への切り替えにあたっては、お手続き費用がかからないのはもちろんのこと、屋内のガス配管やお使いのガス機器はそのままお使いいただけるほか、ガス機器の調査などはガス小売事業者として当社が責任をもって実施させていただきます。ガスの安全や品質はこれまでと変わらないため、是非ご安心してお使いください。

 ――ほくでんガスのロゴマークに込めた思いをお聞かせください。

 藤井 北国の暮らしがより快適になることを願って、お客さまのエネルギーに対するさまざまなご相談に熱い気持ちでお応えし、安全で安心なガスをお届けしたい、という思いを込めて作りました。マークは、ガスの「炎」と当社の事業基盤である北海道の「H」の融合を表したものです。

 ――今後の意気込みは。

 藤井 当社は、「北海道の暮らしやビジネスのあらゆるシーンでお役に立ちたい」「お客さまに寄り添いながら、ご期待の一歩先へ」という思いを込めて、「ゼンリョク宣言 ほくでん」をスローガンとして掲げています。

 私自身、常日頃から「お客さまとのふれあい」や「お客さまへの感謝の気持ち」を大切にすることを意識しており、その思いは従業員にもいつも伝えています。都市ガス事業への参入はゼロからのスタートで大変厳しい競争の中となりますが、お客さま一人ひとりに、最適なエネルギー利用の実現に向けたお手伝いをゼンリョクでさせていただきます。

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ESP事業がボールパークで採用

 ――電力の販売状況はどのようになっていますか。

 藤井 特別高圧・高圧分野では、お客さま専任担当者による対面営業により、お客さまとの関係強化に努めるとともに、お客さまのご使用状況等に応じた料金提案や、法人向けの電化提案、省エネ診断サービス等のソリューション営業に取り組んでいます。その結果、当社をお選びいただけるお客さまは着実に増加しており、活動の成果が現れてきたと実感しています。

 一方、低圧分野では当社からの契約切り替えが厳しい状況に変わりはありません。引き続き、お客さまに「ほくでんの電気」をお選びいただけるよう、料金プランの拡充や付加価値サービスのご提供、他社との業務提携等による魅力的なサービスの充実化を図り、より積極的な営業活動に力を入れていきます。

 ――他社との業務提携にも力を入れていますね。

 藤井 当社にはない魅力的なサービスや商品、お客さまとの多様な接点などを持った企業との業務提携についても積極的に進めています。2020年7月からは北海道エネルギーと業務提携し、「エネとも会員」サービスを開始しました。電気のみならず、おトクにガソリンや灯油の定期配送をご利用いただける、とても魅力的なサービスとなっているので、是非、「エネとも会員」サービスへのご登録をお願いします。

 ――ESP事業の状況はいかがですか。

 藤井 当社では、トータルエネルギーソリューションとしてESP(エネルギーサービスプロバイダ)事業に力を入れています。お客さまは設備面、運用面で初期投資を掛けずに省エネ・高効率機器を導入することができ、また、エネルギー関連設備の効率的な運用と最適な保守管理が可能となります。

 現在、北海道北広島市に建設中の北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコン フィールド HOKKAIDO」で、このESP事業が採用されました。ほくでんグループ全体でエネルギー分野のサポートをさせていただくことになっています。

 具体的には、電気ヒートポンプ機器やガスコージェネレーション設備を設置し、電気や冷温水などのエネルギーをお届けするほか、ICTやAIなどを駆使した省エネ・高効率な設備の運転管理や保守メンテナンスといった「設備運用サービス」を、一括でご提供します。

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コロナ禍で地域のためにできること

 ――新型コロナウイルスにはどのように対応していますか。

 藤井 新型コロナウイルスとの戦いが長期化している状況において、国が示した「新しい生活様式」の実践に向け、在宅勤務や時差勤務、オンライン会議の活用、従業員の健康管理の徹底などに積極的に取り組んでいます。そのほか、「新しい生活様式」の道内での実践に向けて、北海道の呼びかけに基づいた、「安心宣言」を策定し、ほくでんグループ全社において取り組みをおこなっています。

 ――電力の安定供給のために取り組んでいることは。

 藤井 ライフラインである電力を途切れさせてはならないという強い使命感を持っています。新型コロナウイルス感染防止対策として、全従業員が原則、業務中のマスクの着用、こまめな手洗いや消毒を実施し、感染リスクの低減に向けた行動を徹底しています。

 発電所や中央給電指令所など電力供給上重要な施設では、感染者が発生した場合に備え、代替の勤務編成や応援体制等を予め具体的に定め、速やかに必要な要員を確保できる体制とすることで、電力の安定供給に万全を期しているところです。

 ――地域支援についてもお聞かせください。

 藤井 新型コロナウイルスの影響で販売不振に苦しむ北海道内の食品関連企業を応援するため、当社会員制Webサービス「ほくでんエネモール」内で、道産品をプレゼントする企画を展開したほか、現在は宿泊事業者を応援する企画を継続して実施しています。

 グループ会社の北電興業では、『「新北海道スタイル」安心宣言』を全道一円に広く浸透させていくことを目的に、電柱広告を活用した方策を展開し、北海道をはじめ多方面からご好評をいただいています。

 グループ各社もその取り組みを活用し、地域の方々へ新しい生活様式をアピールしています。なお、広告料の一部は北海道を通じて医療従事者へ寄付しています。引き続き、北海道に根ざした企業として、地域経済やお客さまの暮らしを支える様々な取り組みを進めていきます。

 ――最後に今後の抱負をうかがいたい。

 藤井 当社は、競争の激化、低炭素化や技術の進展などの経営環境の変化に着実に対応していくため、20年4月に、「ほくでんグループ経営ビジョン2030」を取りまとめました。

 お客さまからのエネルギーに関する様々なニーズに対して、幅広く、寄り添った提案をしていくために、引き続き、エネルギーサービスのさらなる多様化を図っていきます。

 また「エネルギーのことならほくでん」とお客さまから信頼をいただき、地域の皆さまから選ばれ愛される総合エネルギー企業として、お客さまへの「感謝の気持ち」を常に忘れず、ご期待の一歩先をいくサービスをお届けしていきたい。

 そのためには、自然や食、観光などで大きなポテンシャルを有する北海道の持続的な発展に向け、これまで以上に「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を重視するとともに、「北海道の発展こそがほくでんグループの事業基盤になる」との認識のもと、ほくでんグループが一体となって、地域と“共に”新たな価値を“創り上げる”、「共創」の取り組みをゼンリョクで進めていきます。

 ――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。