オリ・パラ招致、新幹線札幌開業 秋元克広 (札幌市長)に2大難題を問う
秋元克広市長の今の心境は複雑だろう。2020東京大会の不祥事が、目玉政策の30年冬季オリンピック・パラリンピック招致に影を落とす。悲願の新幹線札幌延伸についても開業時期のずれ込みが懸念されている。そんな中、市長選のタイミングが迫る。(=2022年11月24日取材=)
公約に掲げたことはほぼできた
――2023年4月に市長選があります。今任期を振り返って。
秋元 まず、この2期8年を通して振り返ると、これから人口減少が札幌でも進むという問題意識がありました。若い人たちが地元で働き場所があり、安心して子育てができる。そうしたベースができていないと、将来的なまちの発展は望めません。
そのために地域の経済力を高めていこうと観光予算を倍増させたり、再開発事業などに積極的に取り組みました。
再開発については、多くのビルが建て替えの時期を迎えていました。都市再生特別地区を活用した容積率の緩和など、民間投資をうまく促すさまざまな工夫をしています。
地域の経済力の指標でもある市内総生産額は伸び、税収も増えました。それが1期目です。そして2期目に入って、伸びた税収を福祉分野に生かすことができました。重度障がい者への支援、子育て支援の関係では子どもの医療費助成や保育所の整備を推進しました。
市民とお約束をしたこと、公約に掲げたことはほぼすべてできたと考えています。
――そんな中、新型コロナ感染症が……
秋元 2期目はまったく想定していなかった状況が、新型コロナによって生まれました。現実的には、その対応に迫られる部分もありました。
それから、1期目の最終年度だった18年9月に胆振東部地震が発生し、札幌も被害を受けました。清田区里塚地区の被害状況を見た時は復旧に一体、どれぐらいの時間がかかるのだろうか、とも思いました。
しかし、およそ3年で里塚地区の再生事業を終えることができ、いったんは地元を離れたみなさんも戻ることができました。液状化現象も含め、あれだけの被害があったことから考えると短期間で再生ができたと思います。
――コロナ対応について振り返ってみると。
秋元 最初は福祉施設で発生したクラスターなど、対応が難しい場面もありましたが、得た経験を対策に生かしていきました。例えば福祉施設でのクラスター対策では、早めに医師らを送り込むなど。
感染者数が急激に増えていった時、受付電話がパンクしないように全国に先駆けて、スマホで受付入力ができるようにもしました。
すぐに入院できない感染者を一時的にケアする入院待機ステーションの設置も札幌は早く、そうした面は国からも評価されています。
――札幌医科大学の医師らが開発した自宅療養者向け健康観察システムをすぐに導入しました。
秋元 それが「こびまる」です。もう1つ、札医大の医師らが開発した「コビットチェイサー」というシステムも導入しました。コロナ患者の入院状況の見える化、共有化のシステムです。
コロナ感染が一気に広がった最初の頃、実は、市内の医療関係者に集まっていただき、対話をしました。ベッドをいかに確保するかが大きな課題になっていた時期です。
お話をうかがうと、最初の頃は「大変な状況だとは思うけれど、他の病院はどうしてるのだろうか」といった雰囲気がありました。ある種の戸惑いというか……。コビットチェイサーによってリアルタイムでベッドの情報を共有化でき、入院調整、ベッドの確保の面で大きな効果を発揮しました。
もちろんコロナ対応については、札医大だけでなく、北海道大学や他の研究機関、そして地元の医師会と各病院のみなさんのご協力をいただき、取り組んでいます。
……この続きは本誌財界さっぽろ2023年1月号でお楽しみください。
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