TAKエンジ
厨房ダクト火災を防ぐ自動消火装置の重要性と設置を呼びかける
飲食店やホテルの厨房にあるフードやダクトの油汚れに引火することで起こるダクト火災。建物全体に火が広がりやすく、他店への被害も起こりやすい。また、ダクトが天井に埋め込まれているケースがほとんどで、消火時に壁や天井を破砕する必要がある。建物への二次被害を防ぐためにも、早い段階での消火が重要となる。
「TAKエンジ」は、「フード・ダクト等用簡易自動消火装置」の設計、施工、販売、保守点検を専門としている。北海道と沖縄に拠点を持ち、今年で設立15周年を迎えた。
この自動消火装置は、ダクト内の温度をセンサーで監視。火災発生時には自動的に起動して消火薬剤(中性)をダクトやフード内、厨房機器へ同時にすばやく放射して厨房火災を初期消火。被害の拡大を抑えることができる。
9月に道内の飲食店で起きた厨房の火災では、取り付けてあった同装置が起動して直ちに消火。避難誘導やけが人もなく被害を最小限に止めた。全国でこうした事例は数多いが、道内での導入は遅れているという。
川内谷篤社長は「厨房からの出火が大きな火災になり、建物全焼になる事例も少なくありません。特に北海道は雪の影響で消防車の到着が遅れることもありますが、札幌市の火災予防条例は全国の他の政令指定都市と比べて非常に遅れをとっており、火災時に避難が難しい施設でも導入しない事業主が多いというのが現状です」と話す。
札幌市で同装置の設置が義務付けられているのは、特定防火対象物として定められている建物の地下、もしくは高さ31㍍を超える建物内にあり、350㌗以上の熱量がある厨房のみ。関東や関西の都市部ではこれに加え、病院や飲食店、宿泊施設といった用途別に、延べ床面積や建物の高さなど、さまざまな基準でフード・ダクトの自動消火装置の設置が義務付けられている。
「飲食店だけでなく、病院や高齢者施設、幼稚園、不特定多数が訪れる大型商業施設など、避難が遅れる可能性がある方が利用する施設にも一律に導入すべきです。現在の条例では対象外となるものが多く、設置されていないケースが数多くあります。札幌市は前例にとらわれず、積極的に他の政令指定都市と比較し、先進的な条令改正を行ってほしい」と川内谷社長。