MOEホールディングス
独自サービスとM&Aで堅調な業績を維持
道内の介護・福祉分野で確固たる地位を築く「MOEホールディングス」。徹底した安全対策と質の高いサービスで拡大を続けてきた。約1600人のスタッフが道内17市町村、95カ所の介護事業所で高齢者の暮らしを支える。
約3年続いたコロナ禍で施設の稼働率が落ち込んだものの、昨年度は増収増益を達成。業績を最短で回復させた。コロナが落ち着いたことに加え、新施設の開設やM&Aが奏功した。
昨年10月には、札幌市中央区にサービス付き高齢者向け賃貸住宅「グランジェMOE南4条」、今年4月に「グランジェMOE桑園」を開設。さらに美唄市内で7施設を展開する社会福祉法人「恵和会」を傘下に収め、4月から社会福祉法人「萌の風」として新たなスタートを切っている。
昨今の食料や燃料費高騰の影響を受け、施設の利用価格の上昇を余儀なくされたが、施設稼働率はコロナ前と変わらず高水準を維持している。
この理由を水戸康智社長は「苦しい時期でも投資を継続した結果、独自のサービスで付加価値を高めることに成功しました。これが稼働率の維持につながりました」と話す。
この言葉通り、同社ではソフト・ハード両面の強化を推進。昨年から順次行ってきた全事業所のクーラー設置を整備し終えたほか、AIを活用した従業員や利用者の管理システムの導入も進めている。10月には、入居者とその家族に向けた公式LINEアカウントも開設予定だ。
「AIなどのテクノロジーを段階的に導入し、最終的には〝真の安全を提供〟の実現を目指しています。現在はプロジェクションマッピングを活用した、新たなコンテンツも開発中です。『映像+高齢者』というのがテーマです」(水戸社長)
一方で、水戸社長は業界最大規模の団体「全国介護事業者連盟」の副理事長としても活躍中だ。同連盟は3月に47都道府県すべての事業所設置を完遂。2024年度の介護報酬改定では、介護報酬全体を1・59%まで引き上げた。
水戸社長は「現場の声を国政に届けるために、今年も11月に全国大会を東京で開催します。業界の成長のためにも連盟の活動の幅を広げていきます。現場と国の乖離をなくすのも私の使命です」と力を込める。