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スミセキ・コンテック

本社と現場をリアルタイムでつないだことで、情報共有が迅速になった

社会インフラを支える存在。生産性向上と負担軽減も実現

 2023年に設立60年を迎えた「スミセキ・コンテック」は、建設・土木工事の施工を軸に、建築資材の運送や倉庫事業、不動産開発など、さまざまな領域で事業を展開している。

 建設・土木工事は、元請けとして官公庁からの受注がメーン。地域をつなぐ幹線道路をはじめ、橋梁、河川、農業、上下水道、など、公共インフラ工事で生活の基盤を支えている。安定した業績で強固な経営基盤も築く。直近では、国内初の円形歩道橋で知られる札幌市白石区の「菊水円形歩道橋」の補修工事などを担当した。

 建設業界では2024年問題や人手不足を背景に、DX化が進んでいる。同社でも今年から本格的に運用を開始。工事現場と本社をオンラインでつなぎ、進捗状況をリアルタイムに把握できるようにしたほか、工程管理などもデジタル化し工事の生産性が向上した。

 丸山博常務は「現場の仕事は協力会社がいて成り立っている。工事品質や技術力を上げるのはもちろんですが、DX化を通じて協力会社の業務効率の向上と負担軽減に努めていきます」と語る。

 また、職種ごとの業務負荷の軽減にも努めている。例えば施工管理部門では、現場業務のほかに書類などの作成が業務の6割を占めるとされ、長時間労働の引き金になっている。

 この問題に対して、丸山常務は「今年4月から『建設ディレクター』を本社に配置し、分業化を行いました」と語る。

 建設ディレクターとは、ITツールを用いて現場管理者が担っていた事務作業を専門に行う人材のこと。分業化で業務負荷の軽減を図る策として、近年注目を集めている職種だ。

 さらに同社では、建設ディレクターの配置が人手不足解決の糸口になると考えている。その理由を丸山常務は「建設ディレクターは、昨年度に中途入社した業界未経験の女性です。業界では工業系の人材が集中する中、文系出身でも建設業の魅力に触れられて多様な働き方が実現できる職種として、興味を持つ人材がいるはず」と期待をのぞかせる。

 一方、建設以外の事業も特徴的だ。その1つである物流事業では、保有車のほぼすべてがクレーン付きの平型トラックのため、大型の資材や建材の積載に迅速に対応できる。北広島市と苫小牧市に自社倉庫も保有しているため、荷主の商品保管と在庫調整にも柔軟に対応できるのも特徴だ。

 また、21年に工業用の薬剤や薬品を取り扱う「環境事業部」を新設。昨年から東北と北関東で販路を新規開拓したことで、売り上げも大きく伸長した。

「当社の誇りと財産は〝人〟です。素晴らしい社員と協力会社がいたからこそ、仕事を全うできてきた。今後もその思いを胸に、地域に貢献して社会から必要とされる企業でありたい」と丸山常務は語る。

丸山博常務
クレーン付きの平型トラックを保有
札幌市白石区にある「菊水円形歩道橋」のリニューアル工事を担当