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桐越

札幌市東区の社屋外観。新鮮な道産農作物を飲食店や食品工場などに出荷する

新規受注が増加しV字回復を実現。内部強化も推進

 道産農作物の卸業者。要望に合わせ、カット、むき、ボイルといった加工製品で業容を拡大してきた。

 20〜22年のコロナ禍では、飲食店などが事業を縮小するのに連動して売上も減少した。

「23年はV字回復できた。コロナ前の水準に9割方戻った」と桐越慶社長は振り返る。

 要因は「他業種への参入ではなく内部強化を優先して、軸をブラさずに変えなかったことです」と桐越社長は分析する。労務環境や給与体系の整備、取締役の増員、人員の刷新など組織力の強化に勤しんだ。

「飲食店の閉店を数多く見て、悲しく寂しい思いをした。その分、必要とされる時に十分期待に応えられるよう体制を強固にしたかった」と桐越社長。創業者であり、生涯八百屋を貫いた先代の背中を見てきたことが体制刷新の判断につながった。

 また食品ロス削減のため、夕張郡栗山町の農場と提携。残渣を飼料として提供する一方、農作物を購入して循環型の仕組みも構築するなど、SDGsにも積極的だ。

 23年10月には、長年の課題だった電気代削減に向けて太陽光発電システムを導入。さらに24年は、加工工場の水質向上のためにボーリング調査の実施も予定している。

 桐越社長は「コロナ禍では取引先や従業員に助けられた。本当に感謝しかありません。これからも地に足をつけて、お客さんと従業員を守っていく」と決意。新年もまい進する。

桐越慶社長(左)と桐越仁専務
自社工場には太陽光パネルを設置