相川商店
卸ならではの強みで小売に参入。北海道の食を発信
「相川商店」は札幌市内の苗穂エリアで今年91周年を迎える青果物卸だ。ホテルや飲食店、給食、病院など幅広い顧客に対し、北海道産を中心とした全国の青果物を提供する。
相川太史常務は、大手保険会社や築地・豊洲市場の仲卸、農産物関連のベンチャー企業勤務を経て、2020年に同社に入社した。当時はコロナ禍で外食の需要が激減したことから、新業態に挑戦。22年11月に青果店「相川商店苗穂店」をオープンし小売業に参入した。同店にはスイーツ店「ハレノクダモノ」が併設し、旬のフルーツをふんだんに使ったケーキやタルトなどを販売する。「青果卸ならではの商品です」と相川常務。こうした独自のスイーツは6月に神戸、10月4~16日には名古屋で開催された北海道物産展に出展し、好評を博した。
相川常務は「今後は、道外でもスイーツ販売や本業の青果卸で全国に向けて北海道の多様な食文化を発信していきたい。『相川商店の野菜』がひとつのブランドとして認知されるよう地道に取り組んでいきます。新鮮な旬の食材を適正な価格で提供し、食を通じた幸せを多くの人に感じてほしい」と話す。
一方、同社では業界に先駆けて新たな受発注システムを導入するなど、DX化を推進している。相川常務は先進的な取り組みで卸業向けのDXセミナーにスピーカーとして招かれるなど、業界全体の効率化もめざしている。