桂和商事
テナント重視の姿勢を貫き、今年12月に設立60周年
1963年に設立。札幌市中央区南5条西1丁目に第1桂和ビルを建設したことが契機となり、本格的に不動産業に進出した。今年12月には設立60周年の節目を迎える。
現在は同エリアで最多の飲食店ビルを有しており、札幌駅前通りや大通公園、円山公園周辺などにも不動産を数多く所有。
2023年7月末時点の物件数は飲食店ビル17棟のほか、オフィスビル15棟、賃貸マンション16棟、駐車場12カ所。さまざまな形態の不動産を有することで景気変動の影響を受けにくく、業績も堅調に推移している。
採用も好調で、北海道で働きたい大学生からは人気企業となっている。22年の会社説明会には200人を超える学生が参加した。今年も4人が入社している。
大きく成長できた最大の要因が、顧客ニーズに応える姿勢だ。創業以来「お客様の財産と生命を守る」をスローガンに掲げており、業界に先駆けて自社管理に力を入れたことで知られる。
小林俊行専務は「当社が直接管理することで入居者様の声をダイレクトに聞くことができます。故障や漏水などトラブル発生時の迅速な対応はもちろん、予防的なメンテナンスにも力を入れてきました」と振り返る。
また、このコロナ禍では家賃面の支援を徹底。猶予や免除などを行った。その結果、20年に88%だった入居率は23年に93%と改善した。ススキノの飲食店を守るという姿勢が評価された格好だ。
札幌の発展を支えてきた事も成長要因といえる。今秋にはその集大成ともいえる「桂和大通ビル51」が竣工する。場所は札幌市中央区の大通西3丁目で地上14階建て地下2階建ての大規模なオフィスビル。
「大通Tゾーン札幌駅前通地区計画」の第1号案件で、北海道を代表する大通中心街の生活文化と経済活動をけん引する役割を担う。24年には同社の本社機能の移転も計画している。
「北海道新幹線の札幌延伸や都心アクセス道路開通などによって札幌市内は交通インフラが整いつつあり、さらなる人の流入が予想されています。これらの需要を不動産面から支えていきたい」と小林専務。