星槎道都大学
追求するのは〝偏差値〟より〝変化値〟。産学官連携を強化
――〝人間力〟の養成は、貴学が最も力を入れてきた分野です。
飯浜 星槎グループの理念である「人を認める」「人を排除しない」「仲間を作る」ことができる学生を育成することに傾注してきました。そして「学生成長率ナンバーワンの大学」を目指し、さまざまなアプローチをおこなっています。
――具体的には。
飯浜 学生の成長の鍵を握るのは自己肯定感です。自分自身を好きになるために、まずは自分を受け入れてくれる居場所をつくる必要があります。学内はもちろんですが、地域社会を含めた学外で成功体験を蓄積していくことに力を入れており、実体験を重視した学外活動を充実させています。
――企業や行政との連携にも力を入れていますね。
飯浜 本学独自の有償型インターンシップ「きゃり・プロ」もその一環です。学生に給与が支払われるインターンシップであり、高い職業意識や実務能力を身に付けると同時に、学生の経済的支援につながるものです。
例えばボールパーク内にある新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」内の販売をはじめ、福祉施設での障がい者支援や生活支援にも携わっています。
また、昨年はボールパーク建設に伴うフィールドワーク調査として、JR「北広島駅」からボールパークまでの観客の動線を予測し、課題点を見つける産学連携ゼミを実施しました。学生が現地に足を運び、リサーチした結果をもとに後日、北広島市役所の皆様にプレゼンテーションを行いました。
――学内では経験できない貴重な体験ですね。
飯浜 机に座って勉学に励むことはもちろん大切ですが、本学では「偏差値」よりも「変化値」というテーマを掲げています。さまざまな体験から、多くの気づきを得られます。時には失敗することもあるでしょうが、それも貴重な経験です。本学だけで教育を完結させるのではなく、我々がハブ機能を担い、産学官一体となって学生を育てていく。学生にとって最善の教育を探求していきます。
――学生の〝やる気〟を引き出す工夫は。
飯浜 独自の「学修成果可視化システム」を導入し、学びで得られた成果をグラフでの〝見える化〟をしています。自身の成長率と〝変化〟をデータとしてしっかりと把握できるため、学習意欲の維持・向上が期待できます。
また、学生一人ひとりのデータは、〝個別最適化〟にも生かしています。文部科学省が推進する「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実践すべく、本学では学生それぞれの特性や学習進度、学習到達度などに応じて指導方法などを柔軟に変化させています。本学は入学定員260人、教員1人に対する学生数は14人と小規模校ですから、個別最適化しやすい環境とも言えます。また、チームとして取り組む課題の拡充や企業、行政とのプロジェクトの拡大も推し進めていく方針です。
――第三者の評価も高いですね。
飯浜 文部科学大臣の認証評価機関による「令和4年度大学機関別認証評価」において、4期連続で入学定員を確保していることや積極的にインターンシップを推進している点、前述の「きゃり・プロ」、各授業担当者および学科サポーターおよび履修アドバイザーによる支援体制など、複数の項目で「優れた取組」として評価をいただきました。
――独自の「内部質保証」も評価されたようですね。
飯浜 学生や保護者、高校教員をはじめ、就職先を含めた企業や地域など、外部のステークスホルダーの声を教育に取り入れています。いただいたアンケートをもとに、PDCAサイクルを実践し、より時代のニーズに合致した教育にブラッシュアップさせています。
――AIやICT分野にも力を入れていますね。
飯浜 昨年、道内の文系大学で唯一、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の認定校となりました。学生が各学科専門分野で身に付けた知識や技能をデータサイエンス・AIなど情報技術の知見で利活用することで、表現や課題解決、ひいては社会貢献できる人材となることが狙いです。
――各学科の就職状況は。
飯浜 今春は経営学科と社会福祉学科が就職率100%を達成したほか、デザイン学科と建築学科も高い就職率を記録しました。
――今年は開学45年の節目です。
飯浜 より質の高い教育を目指し、近年は大胆な改革を行ってきましたが、ようやくスタートラインに立てたと思っています。今年度は、教職員全員で15年後の開学60年を見据えた新たなグランドデザインの策定に取り組む予定です。