玄米酵素
一企業の域を超え、医療機関との連携で健康社会の実現に貢献
玄米の栄養素をまるごと摂取できる発酵食品「ハイ・ゲンキ」シリーズを販売する「玄米酵素」。自然食レストランやショップ、クッキングスクール、健康保養施設などを全国に展開し、正しい食生活のあり方を「食事道」として普及。主催する健康・食育セミナーの年間参加者は実に対面5万人、オンライン1万8000人に上っており、医療関係者の参加も急増中だ。
創業50周年を迎えた2021年10月には、100周年を見据え「NEXT 50」を発表。第2創業期と位置付けて、「医療」「食」「教育」「農業」「自然」の食に関する5つの健康事業について将来的なビジョンを設定した。
なかでも特徴的なのが、健康企業の域を超えて医療機関や医学研究機関と連携し、食事道のノウハウを生かした健康社会実現への貢献だ。
具体的な未来戦略として「1000人の医療機関(医師・歯科医師)が、玄米酵素や玄米などの全粒穀物を主食にした日本型食生活を患者にすすめる社会」を掲げている。鹿内正孝社長は「1000という数字は全国の医療施設の0・5%強に相当。社会が変わる数だと考えている。創業55年までに達成したい」と語る。
玄米をはじめとする全粒穀物は、疾病予防に有効という多数の論文が発表され、すでにアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでは国の食事指針として推奨されている。日本ではそうした動きが遅れているが、同社では玄米酵素の医学研究会を1998年に発足してエビデンス(科学的な裏付け)を追求してきた。国立大学の教授や医師らがさまざまな角度から玄米酵素を学術名「FBRA」(ふぶら)として研究し、これまでに36本以上の学術論文が発表されている。
こうした経験を踏まえ、直近では脳の医学研究をおこなう琉球大学の益崎裕章教授との共同研究を開始した。益崎教授は玄米の医学研究の第一人者であり、病院食を玄米食に変えた実績もある。〝人生100歳時代〟を迎え「認知機能の改善」や「脳の老化を抑える機能」が証明されれば非常に効果的と判断したからだ。
鹿内社長は「多くの医師が玄米や玄米酵素に興味を示すには、機能性をさらに研究することが必要です。医学論文として発信されれば、世界各国の医療関係者に玄米酵素を知っていただくこともできる」と期待する。同社では22年に海外事業部を設立。玄米酵素の海外での認知度向上も視野に入れている。