大谷翔平選手
前代未聞の挑戦にワクワクする
打ってはクリーンアップで、打率3割8分6厘。投げては開幕からローテーションに入り、3勝(5月6日現在)。2年目の大谷翔平選手はここまで十分すぎるほどの活躍をみせている。「開幕前、監督から『今年は〝投手重視〟で、しっかり先発として中6日で回ってほしい』と言われました。そのため、キャンプでは下半身強化を重点に過ごしてきました。それがよかったのではないでしょうか。いいスタートが切れました」
1年目の成績は、打者として打率2割3分8厘、本塁打3、打点20。投手としては13試合に登板し3勝0敗、防御率4・23だった。
「数字的に投打とも納得はしていません。思うように打てなかったですし、ここぞという場面で投げきれなかった部分がありました」
チームは昨年、北海道移転後初めて最下位に沈んだ。
「シーズン終盤は勝てない時期が続いたので、そこが一番悔しかったですね。今年は絶対に優勝した い。そのためにも1年間を通してチームの戦力にならなくてはなりません。個人目標は打者としてはコンスタントに試合に出続けること。投手としては1年間 ローテーションで投げること。しっかりと実力でローテーションを守り抜きたいです」
1994年7月5日、岩手県水沢市(現・奥州市)生まれ。社会人野球の選手だった父の影響で、小学2年生のとき、野球を始めた。大谷選手の武器は193センチの長身から繰り出される150キロ台の直球。花巻東高時には160キロを計測した。
「持ち味ではあると思いますが、スピードへのこだわりは特にありません。プロに入って、投手として一番大切だと感じたのは安定感。ただ、ファンの方々に喜んでもらえるのであれば、いつかプロでも160キロをマークできればいいですね」
リラックス方法は寝ることとお風呂に入ること。
「本を読みながら半身浴もします。最近はトレーニングに関する本を読んでいるので、体の使い方など、いいと思ったものは取り入れるようにしています」
好きな食べ物はチョコレート、焼き肉、すし。
「意外に思われるかもしれませんが、食べる量は結構、普通です(笑)」
ちなみに好きな女性のタイプは「芸能人で誰がいいとかはないのですが、明るい人ですかね」とはにかむ。
これまで長いプロ野球の歴史の中で〝本気〟で二刀流に挑戦した選手はいない。この挑戦に異議を唱える野球関係者は多い。早くどちらかに絞ったほうがいいという声もある。
「ありがたいことだと思っています。裏を返せば、投打とも期待してもらっているということでしょ う。自分としては特別なことをしている意識はありません。高校時代も両方やっていたので、どちらかに絞るのが嫌でした。自分でもどこまで通用するのか楽し みです。どのような選手になれるのかワクワクしています」
大谷選手の追い求める二刀流の完成形を聞いた。
「投手であれば何勝、打者であれば何割、何本塁打というような数字は、まだ考えないようにしていま す。チーム内では投手としても、打者としても、ポジション奪いにいく立場ですから一戦一戦、一打席一打席に集中するだけです。実力的にもまだまだ足りな い。自分自身がレギュラークラスの選手になったと思えたとき、数字を考える余裕が出てくるのかなと感じています」
勝負強い打者で絶対的なエース
夢はメジャーリーグ。高校3年のとき、メジャー挑戦を表明したが、その年のドラフトでファイターズが強行指名した。
「二刀流を提案してくれたのはファイターズなので、とても感謝しています。いまはチームの勝利に貢献したいという気持ちのほうが強いです。でも、しっかり成績を残すことができたなら、いつかはメジャーに挑戦したい」
憧れの選手は、打者では巨人の高橋由伸選手、投手ではメジャーリーグで活躍する松坂大輔選手とダルビッシュ有選手だ。
「子どものころ、いつも地元では巨人戦が中継されていて、高橋さんのとにかく勝負強いバッティング が印象に残っています。松坂さんとダルビッシュさんは絶対的なエース。誰にでもなれるようなレベルの選手ではありません。まだまだ投打ともその域には達し ていませんが、将来的に(2つを兼ね備えた)そんな選手になれたらとは思います」
(竹内)