【砂川誠のコンサの深層】杉浦大輔氏
ミシャの冗談を訳すのは難しい
砂川 ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)の通訳をしてもう13年になります。普段はどんなことを意識されていますか?
杉浦 通訳には監督の話すことをそのまま訳していけばいいと考える人もいれば「選手に伝わらない」と思うような場合に、自分が監督の意図を補足して選手に伝える人もいる。その意味では、自分は後者を意識しているね。
砂川 ミシャがよく言う口癖ってあります?
杉浦 試合前によく言っているのは「恐れる気持ちが一番の敵だ」ということ。試合前、相手のプレッシャーがきつくてパスミスを怖がったり、ボールをもらうのを怖がったりというのは、選手の心理状況としてままあること。監督はそれこそが“一番の敵”だから、怖がらずに勇気を持ってプレーしよう、という意図で言うんですけど、それは独特の表現かなと。
砂川 口調も意識する?
杉浦 それはある。普段は監督のテンションに合わせて口調を上げたり下げたりするけど、たまに選手の空気と合わないこともあるから、その時は僕のほうで少し調整することもあるね。
砂川 ミシャはよく冗談も言いますけど。
杉浦 訳が難しいよね。うまく笑いにつながるようにしないといけないから。実際ミーティングでは結構“スベる”から、フォローしているよ(笑)
(構成・清水)
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1974年5月11日、埼玉県出身。埼玉県立伊奈学園総合高校時代の92年に高校総体出場。東洋大学を経てドイツへ渡り、語学学校に通いながら現地の下部リーグでプレーした後、ケルン体育大学在学中の06年に、サンフレッチェ広島フロントの通訳として、ミハイロ・ペトロヴィッチ氏の契約交渉の場に在席。以後、同氏の広島監督就任時から専属通訳兼コーチを務め、広島、浦和レッズを経て18年から北海道コンサドーレ札幌に加入した