アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】菅野孝憲選手

0対7の敗戦はチームに必要だった

砂川 ミシャ(ペトロヴィッチ監督)のもとでプレーしたい、と移籍を決断したそうだけど。

菅野 昨シーズンが終わった後、コンサドーレを含めいくつか声をかけていただいたチームがあった中で、コンサにミシャが来ると聞いて。年齢(34歳)的にも彼のもとでプレーするのは最後のチャンスだと思ったんです。三上(大勝)GMにも会わないまま、すぐに契約しましたね。

砂川 ミシャのどこに惹かれていたの?

菅野 コンサに来るまではキャンプ地のサウナで一度会ったことがあるくらいで、基本的には対戦相手として。でも少し練習を見ているだけで、ここまで完璧というか、見本となるような指導者はいないと感じていて。

砂川 実際にミシャのもとでプレーしてみてどう感じた?

菅野 人間性もそうだけど、彼がかつて選手として経験してきたことを僕たちに伝える力がすごい。実際は当たり前のことを当たり前に言っているんだけど、それを僕らは忘れがちなので。

砂川 前線に人数をかける戦術だから、GKがカバーするエリアは当然広くなる。見ていても相当大変だと思うけど、そのあたりは。

菅野 ビルドアップもそうですが、フィールドプレーヤーとしての動きが必要で。でもそこは自分の持ち味の1つだから、練習からやっていて楽しいですね。

砂川 川崎フロンターレ戦(9月15日)では0対7で負けてしまったけど、ミシャのやることというのはずっと変わらずブレない。

菅野 あの試合のオフ明けに「やることは何も変わらない」と敢えて強調していましたけど、彼はそういうことを話すタイミングもすごく上手い。僕自身、今シーズンは上手く行きすぎていると思っていたし、あの敗戦はチームにとって必要なことだったと思うんです。だから、大きく引きずる必要もない。

砂川 ちょっとやそっとでは崩れない〝土台〟をチームに築いてくれたよね。だから1つの負けで揺らぐことがなくなった。それを就任から1年もたたずに実現してしまう。

菅野 ただミシャ自身は、もっとペースを上げて僕たちに伝えていきたいことがあると感じます。選手の側が、そういう彼の情熱にどう応えられるか。そういう意味で、僕らにはまだ伸びしろがある。成長の余地のあるチームにいると、自分自身も含めて感じています。

(構成・清水)

……この続きは本誌財界さっぽろ2018年11月号(10月15日発売)でお楽しみください。


→Webでの購入はコチラ
→デジタル版の購入はコチラ

1984年5月3日、埼玉県出身。179センチ・75キロ。東京ヴェルディ1969の育成組織出身。03年にJ2横浜FCへ加入し、レギュラーの座を獲得。06年にはJリーグ記録となる770分無失点の記録を樹立。08年に柏レイソルへ移籍し11年にJ1、12年天皇杯、13年Jリーグ杯でそれぞれ優勝を経験。16年から17年まで京都サンガを経て今シーズンから北海道コンサドーレ札幌へ期限付き移籍。背番号1、GK