札幌琴似整形外科

つじ・ひでき/札幌医科大学卒業。 札幌医科大学高度救命救急センター、札幌徳洲会病院副院長、羊ヶ丘病院医長などを経て、2024年4月から現職。日本整形外科学会専門医。
生活に支障をきたす手・肘疾患に高度な医療を提供
アスリートも治療に訪れるなど、質の高い整形外科治療を提供している「札幌円山整形外科」。そのグループ病院の「札幌琴似整形外科」は、一般外傷のほか、スポーツ障害や脊椎疾患、人工関節など幅広い整形外科分野の診療や手術を行っている。
2024年から副院長を務める辻英樹氏の専門部位は手と肘であり、これらの部位の専門治療を中心に、整形外科外傷や骨折治療全般に対応。札幌徳洲会病院在籍時の07年には、整形外科外傷部門を立ち上げた。
「手の疾患で多いのは、手根管症候群、腱鞘炎、母指CM関節症の3つ。特に中高年がなりやすい傾向があります」
手根管症候群は、更年期や妊娠時、授乳期の女性に多く、手のひらの付け根の正中神経が圧迫され、手のひらに痺れが生じる。
手術は鏡視下の「手根管開放術」を実施。1・5㌢の切開の低侵襲手術で、狭くなった手根管の靭帯組織を切って広げる。痛みが少なく傷跡が目立たないのが特徴だ。
また、母指CM関節(親指の根元の関節)症は、加齢や使い過ぎによって親指を動かす関節に痛みや変形が生じる変性疾患。手術は鏡視下の「関節形成術」や「関節固定術」を行う。
「関節形成術」は、擦り切れた軟骨の一部を削り、人工靭帯を入れて親指を安定させる。「関節固定術」は特殊な金属で固定する手術で、両手術ともに〝動かす〟〝支える〟 といった機能を回復させ、痛みの改善が期待できるという。
「術後は早期から専門スタッフと共にリハビリを行い、快適な生活が送れるように注力しています。これらの手の疾患の予防として、女性ホルモンを補うサプリメントの摂取を推奨しています」
一方、肘は「テニス肘」「ゴルフ肘」「野球肘」など、スポーツ関連の疾患が多いという。鏡視下手術や移植手術を行うこともあるが「手術はあくまでも最終手段」としており、保存療法を優先。肘を痛めにくくする筋力トレーニングや正しい体の動かし方の指導がメインだ。今春には、体外衝撃波治療用の先端機器の導入も予定している。
体外衝撃波治療は保存治療の一種で、衝撃波を体内の組織に伝達することで、疼痛改善や組織修復を促す。身体に負担をかけず、慢性的な痛みを緩和させることができる先端の治療法と言われている。
「昨年、手と肘の機能回復に特化した専門部門を開設しました。これまで培った知識、技術や経験を活かし、患者様に質のより高い医療を提供します。地域の医療機関としての役割を担っていきたい」

