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道南バス

運転手をはじめとする従業員の待遇改善にも力を入れる

バスの魅力を多世代に発信。異業種との共同事業も推進

 バスは生活の基盤を支える交通インフラとして必要不可欠な存在だ。

 室蘭に本社を構える「道南バス」は、胆振エリアを中心に路線バスや都市間バスなどを運行。来年には創立100年を迎え、長きにわたって生活を支え続けている。 

 インバウンドなど人流の復活が見られるものの、コロナ禍がバス業界に与えたダメージは大きく、各社は経営の立て直しに奔走している。同社も例外ではなく、乗合、都市間ともに順次運賃の改定などを計画。財務の強化を図っている。

「交通インフラを担う事業者として、不採算路線も何とか維持しています。運転手をはじめ、運行管理者や整備士などの不足も深刻化しており、会社存続のために運賃の値上げにご理解いただきたい」と長谷川義郎社長。

 このほか同社では、バスの魅力を発信するさまざまな施策を打ち出している。

 例えば室蘭市内では、提携するスーパーの駐車場でバスの乗り方教室を子供向けに開催しているほか、7月には運転体験会を室蘭中央自動車学園で開催。大学生や親子連れ、会社員、バスファンなど約60人の来場者に、バス事業の魅力を発信した。体験会終了後は会社説明会も催した。

 一方、貸切バス事業では今年4月、ドイツのバス車体メーカー「ネオプラン社」(現マン・トラックアンドバス)が製造した車両を導入。2006年まで都市間バスで走行させていた車両と同一メーカーだ。再導入した理由を長谷川社長は「バスの魅力を知ってもらうのに最適な豪華な車両です。多世代の人に是非一度乗ってほしい」と説明する。

 また、地元企業で内航海運業の「スターマリン」(室蘭市)ともコラボ。室蘭の中心部を流れる知利別川を小型ボートで遊覧する共同企画ツアー「知利別川クルーズ」を6月からスタートさせた。「むろらん港まつり」などのイベントに合わせて運行する。

「バス業界が活性化するためにも、地域を元気にすることが大切。人が集まり、新たな仕事が生まれ、人口が増える循環をつくっていきたい。各自治体をはじめ、地域の企業との連携も強化し、地域活性に取り組む」と長谷川社長。  

緑色のカラーでおなじみの道南バス
長谷川義郎社長
豪華な装備が魅力のネオプラン社のバス車両