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~ウェルビーイング経営を実践し急成長~関東トップクラスの実績を誇る解体業者が札幌に進出

20~50代まで幅広い世代が活躍している

「マサヤホールディングス」(本社・神奈川県横浜市)は、神奈川県と東京都で解体工事を手掛ける「ハマーズ」と「レクト」、アスベストの分析・調査を行う「ベスター」を束ねる気鋭の企業。23年度の売上高は約41億円と右肩上がりで成長を続け、今年2月にはハマーズ札幌営業所を開設し北海道に進出。札幌市出身の澤昌志社長に成長の歩みと道内進出の経緯を聞いた。

創業15年で年商40 億円を突破

――事業内容は。

澤 東京都と神奈川県を中心に解体工事と付随するアスベストの分析・調査を行っています。昨年は、解体業の「ハマーズ」と「レクト」、アスベスト調査の「べスター」を傘下とする「マサヤホールディングス」を設立しました。

――創業の経緯は。

澤 出身は札幌市で高校卒業まで過ごしていました。卒業後は大手家電量販店で4年間、横浜の食品卸会社で4年間勤務しました。

その後、解体業界に飛び込んだのですが、半年経たずに退職しました。そのとき同期入社だったのが現在ハマーズの社長を務める間瀬涼太君です。2人で退職後に2009年に解体工事の「ハマーズ」(本社・神奈川県横浜市)を創業したのがスタートです。ツテや人脈などは一切無く、地道な営業活動を継続しました。 

――近年の業績は。

澤 昨年の総受注件数は約2300件と過去最高でした。当社では、HPや不動産仲介会社様がご紹介してくださる個人のお客さまとの直接契約が約3~4割を占め、解体工事を請け負ったハウスメーカーや不動産会社、工務店から元請けとして工事を受注する割合が約6~7割を占めています。余分な中間マージンが発生しないため約20~30%ほど工事費を削減できるので、お客さまの費用負担軽減につなげています。

また、お客さまとは直接コミュニケーションを取り、迅速で丁寧な施工管理を徹底しています。解体工事は近隣の方々にご迷惑をお掛けするので、挨拶状と粗品をお持ちした近隣への丁寧な挨拶回りは徹底しています。こうした対応やお客さま第一の姿勢が当社に対する信頼につながっていると自負しています。

ウェルビーイング経営が成長の追い風に

――社員一人ひとりのマンパワーが成長の原動力となっていますね。

澤 社員一人ひとりが当社の財産であり原動力そのものです。ここまで当社が成長できたのは社員のおかげです。今では社員も73人に増えましたが、私が解体業界に飛び込んだ時の会社の経営を反面教師にしています。経営者の利益のために社員がいるわけではないと強く感じ、社員と共に笑顔になれる会社づくりを目指してきました。 

――どのような会社を目指していますか。

澤 当社の基軸にあるのが〝ウェルビーイング経営〟です。ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好で満たされた状態にあることを示す概念です。健康経営と同様に考えられる事があるのですが、企業視点の健康経営に対し、従業者視点なのがウェルビーイング経営です。社員のワークライフバランスを追求する指針として経営に取り入れています。

社員とその家族を幸せにすることが経営者である私の使命と考えています。

――具体的には。

澤 社員の幸せを実現するには、業界水準以上の給料を支払うことが最低条件だと思っています。当社では、売上げ目標を3カ月連続で達成したら3万円昇給し、1年間で最大12万円昇給する給与システムを構築しています。社員の7割から8割が基本給ベースで月給が50万円以上になっています。

ただ、お金で満たされる瞬間的な幸福だけではなく、人や社会の役に立つことで得られる人生への〝充実感〟や〝満足度〟といった持続的な幸福を実感できることが働くことの本質です。

当社ではフルフレックス制度を導入しているので、出社の義務はありませんし、社員の息抜きとなればと思い、毎年社員旅行も実施しています。給料が高いと激務でブラックなイメージがありますが、それはウェルビーイングの本質と異なります。お金と時間ができないことには、本当の幸せの追求はできません。

職場環境や福利厚生の充実、努力を正当に評価する仕組みづくりが社員のエンゲージメン向上につながり、離職率も10%以下となっています。ウェルビーイングを実感できるようになったことが成長を続けられる要因です。

札幌営業所の開設で第二フェーズへ

――2月にハマーズの札幌営業所を開設しました。

澤 北海道出身なので、地元に恩返しをしたいという思いはずっと持っていました。これまで解体業の主戦場は東京と神奈川でしたが、北海道で仕事ができれば微力ですが道内経済に貢献できるという思いからです。5月にはアスベスト分析・調査のベスター札幌センターも開設しました。

――今後のビジョンは。

澤 実績がある先輩の同業者の皆さんに〝追い付け追い越せ〟で競争するつもりはありません。ただ当社は業界の中でも給与水準が高いと自負がありますので労働市場や地域経済の活性化のためにも賃上げ気運を後押しできる存在を目指したいですね。

北海道においても人への投資を積極的に行い、今後も社員とその家族の幸せの最大化を目指す会社をつくっていきます。

■取材協力/マサヤホールディングス 神奈川県横浜市中区蓬莱町2丁目4ー2ー1F

澤 昌志(さわ・まさし)
1979年札幌市生まれ。98年に北海道札幌琴似工業高等学校卒業。2009年解体事業のハマーズを創業。16年レクトを創業した後、23年に持株会社マサヤホールディングスを設立。
木造からRC造、鉄骨まで幅広く解体工事を手掛ける
有資格者による分析と最新機材の導入で、正確で迅速アスベスト分析が可能