エムズフード
独自戦略で躍進。食を通じて顧客の笑顔をつくる
高齢者施設や医療機関、学校向けの給食事業が中核の「エムズフード」。道産食材にこだわり安心安全で栄養バランスに優れた食の提供に努めている。
近年は食材費の高騰を理由に経営に苦しむ同業他社が多い中、グループ会社を介した食材の直接仕入れで差別化。業界内でも一目置かれる存在だ。
田上政行社長は「一般的に食材の仕入れは、卸会社を起点に複数社を経由するケースが多く、その分のコストが上乗せされています。当社では食材の仕入れに特化したグループ会社を設立し、卸会社から直接仕入れられる仕組みを構築しました。これにより他社と比較しコストカットを実現しました。また、小ロットでも仕入れられるのでフードロスの削減にもつながります」と語る。
さらに、仕入れた食材の自社配送も行っており、調理先からの発注にも迅速に対応する。これにより食材の仕入れから調理まで、全工程を自社で対応できる体制を構築した。
また、メニューにもこだわりをみせる。高齢者施設の場合では、味や栄養面に配慮することはもちろん〝家庭にいるような感覚〟や〝食べ親しんできた料理の提供〟を徹底。四季を取り入れたメニューや北海道の特産品を使用するなど、一食一食に食べる楽しさを感じられるような献立づくりに努めている。
「さまざまなニーズに応じられる食の提供に努めていきます。その根底にあるのが、食を通じて喫食者の方々を〝笑顔にしたい〟という思いからです」と田上社長は顧客主義を貫く。
こうした取り組みや考え方が顧客から評価され、契約数は年々増加。現在は全道はもちろん、東北地方からの引き合いも多い。
今後の展開について田上社長は「人手不足の中、高齢化社会を背景に医療機関や高齢者施設向けの給食事業の需要が高まっている。冷凍食品を活用した時短調理をはじめ、人材の適切な配置にも努めていく」と語る。
また、2019年からは児童発達支援事業所を運営。療育分野にも進出した。札幌市内と沖縄県に計4つの事業所を運営しており、今後は事業所内での食育支援や就労につなげるサービス展開も視野に入れている。