南組
自社開発の製品と工法で業界に新たな選択肢を提案
海洋土木工事や一般土木工事、それに伴う保守維持工事などを手掛ける「南組」。1928年に日高管内の様似町で創業し、今年で95年目を迎える。
グループには、自社開発のモルタルを製造販売する「エフモル工業」、生コンクリートや2次製品を製造販売する「浦河生コンクリート」、ガソリンスタンド経営やクレーン車等の賃貸業を行う「南産業」を有し、昨年度のグループの売上高は35億円に上っている。
近年は土建業を主軸としながらも、メーカーとして原料から製品、機械、工法などの開発に取り組む。製造業出身の南修社長のアイデアから生まれた画期的な自社製品は業界に新たな可能性を提案している。
その代表例が、エフモル工業のモルタル補修材「エフモルシリーズ」。従来の大量製造方式から配合のばらつきが極めて少ない1袋計量袋詰方式を採用。耐久性に優れ、かつ二酸化炭素排出量を約23%削減した高品質の補修モルタルを製品化し、昨年は全国で約10万袋を発売するなど引き合いが相次いでいる。
また、レンタル機械の「左官アシスト」も自社開発。左官の手作業による農業用水路補修工事の約9割を自動化し、品質の安定化や工費削減、工期短縮を実現。職人不足にも対応できると高評価を得ている。ダムの水路トンネルや一般住宅などでも応用できることから、同社はさらなる需用増を見込んでいる。
南社長は「今までの建設請負業だけを続けていては稼げなくなるのは明らかでした。ニーズに応える製品や技術を自ら開発して、戦う〝武器〟をつくることで、他社と競争しない経営を実現しました」と語る。
一方、技術開発にも力を注ぐ。
例えば、国土交通大臣から贈られる国土技術開発賞を受賞した「永久型枠工法」は、港湾の防波堤や岸壁などの補修に高強度コンクリートパネル(永久型枠)で覆う新技術。従来の水中コンクリート打設工法に比べ、拡幅が5分の1の30㌢で済み港内面積の縮小を最小限に抑えることができる。
工事に伴う潜水作業の安全性と効率が向上する新工法として注目され、道内全域から積極的な問い合わせが舞い込んでいる。
「今後も新たな製品や工法を積極的に開発していく。社員と会社を守るためにも永続企業を目指します」と南社長は語る。