ほっかいどうデータベース

札幌心臓血管クリニック

「札幌心臓血管クリニックとよひら」は、豊平区役所向かいにある調剤薬局ビル2、3階に入居

豊平区に分院を開設。低侵襲手術で患者の負担を軽減

〝断らない〟を理念に低侵襲手術を実践

 高度心臓血管治療専門病院「医療法人札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック」は、08年に藤田勉理事長が開院。〝患者の受け入れを断らない〟という理念を掲げ、365日24時間体制で救急救命を行っている。23年は4万5000人を超える患者の急性期医療を担った。

 開院以来、特に力を入れてきたのが患者への負担が少ない低侵襲の心臓手術であり、中でも積極的に実践しているのが「MICS手術」だ。

 一般的には胸の中央を20~25㌢ほど切開して行う「胸骨正中切開」手術が主流だが、MICS手術は、左右どちらかの胸を3~6㌢程切開。肋骨のすき間から心臓にアプローチする術式。胸骨正中切開手術に比べて傷が小さいため、出血量も少なく術後の痛みも軽減され、1週間程度で退院可能だという。

 同院ではより高い精度を追求し、このMICS手術などにロボット支援手術を導入。執刀できる医師や医療機関は全国的にも限られるが、同院には認定資格を持つ専任の医師が3人在籍。年間150~200例の手術を行っている。

 藤田理事長は「従来の開胸手術では負担が大きかった高齢者にも施術できるようになった。25年は新たな執刀医を迎えて体制の強化を図る。将来的には、ほぼすべての心臓病を低侵襲手術で治療できるようにしたい」と話す。

 また、11月からは頻拍性不整脈の1つである心房細動の治療に、新たな術式「パルスフィールドアブレーション(PFA)」を導入している。  

「従来の治療法では、熱を用いて心筋組織を焼灼するため、周囲の食道や横隔神経、肺静脈などに損傷を与えるリスクがありました。一方、PFA治療は電気パルスで心筋細胞に無数の小さな穴を生じさせる治療法で、合併症の発生リスクを低減できます」と藤田理事長。

 同院は、命に関わる不整脈の1つである心室頻拍の治療が可能な道内でも数少ない病院として多くの紹介患者が訪れ、24年10月の月間紹介数は過去最高の1200件を超えている。

6月に分院を開設。札幌市内全域を網羅

「循環器医療における地域格差をなくしたい」と話す藤田理事長は、医療ネットワークの拡大にも力を入れてきた。

 22年7月に開業した「新札幌心臓血管クリニック」(札幌市厚別区)に続き、24年6月には、道内2カ所目となる分院「札幌心臓血管クリニックとよひら」(札幌市豊平区)を開設した。

 また、他の医療機関にドクターを派遣しているサテライト外来数は、札幌市内では中央区3、北区5、東区4、白石区1、厚別区2、清田区1、南区1、西区2、手稲区2の計21施設に加え、函館、稚内、帯広など27施設で全道を網羅。交通手段の確保が難しい患者には、無料送迎サービスを提供するなど、地域医療を支援している。

「豊平区に開院したことで、札幌市内全域をカバーする医療ネットワークを構築することができた。とよひら分院も本院と同様の診療体制を整備しています。外来で疾患が見つかった患者には本院で治療を行い、予後をサテライトや分院でフォローしています」と佐藤勝彦理事。

「本院の混雑を解消し患者の利便性を高めることができた。本院を地下鉄東豊線の栄町駅周辺へ移転する計画も進めており、28年の完成を目指しています。また、25年5月頃には、海外初となる分院をインドネシアのバリ島に開業する予定です」と藤田理事長。

 

22年7月に開院した「新札幌心臓血管クリニック」

28年に移転予定の本院の心臓カテーテル室(イメージ)

初診から治療まで〝待たせない〟迅速な診療を実践している「札幌心臓血管クリニック・本院」
手術支援ロボットを用いて低侵襲手術を実践する
藤田勉理事長兼CMO
佐藤勝彦理事兼CCMO
自らが広告塔になり周知している