桑園整形外科
〝ただの疲れ〟という思い込み解消が腰痛緩和につながる
ひと口に〝腰痛〟と言ってしまいがちだが、腰が痛む原因はさまざま。腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、筋膜性疼痛などが代表例だ。レントゲンやCTなどの画像診断だけではわからないケースもあり、風邪のように改善することがないのもこのためだ。事実、痛みを抱えても「歳のせいだから」と諦めてしまっている人も少なくない。
「痛みがあると不安になるものです。そのため腰痛の治療は、患者さんが訴える痛みを理解するところから始まります」と語るのは本間信吾名誉院長だ。
市立札幌病院で約30年にわたり部長を務めた整形外科医だ。腰に関する疾患を専門としており、近年は高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症の患者も数多く診ている。
本間名誉院長は「腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢によって神経の通り道である脊柱管が細くなること。腰の痛みよりも、歩いていると足にしびれや痛みが出てくる疾患です」と話す。
腰部脊柱管狭窄症は、歩くと痛み、休むと痛みが止まる状態を繰り返す「間欠性破行」という特徴がある。立っているだけで足に重だるさを感じることもあり、ただの疲れと勘違いするケースも。「座ると楽だが立つと足が辛いといった症状があれば、腰部脊柱管狭窄症を疑うべき」という。
本間名誉院長がまず優先するのは保存療法だ。運動療法や生活動作指導を積極的に取り入れている。
「神経への圧迫を取り除く手術などを実施しますが、体への負担を考えると痛みがひかない場合の最終手段です。体幹を鍛えることで痛みが治ることもあるため、膝を曲げて上肢を伸ばす腹筋体操は特に重要です」(本間名誉院長)
加えて、精神的な弱みや思い込みが解消されることで、症状が緩和されることもあるという。
丁寧なインフォームドコンセントも好評な本間名誉院長は「疾患や治療に関する質問はどんどんしてほしい」と話す。