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山崎耳鼻咽喉科クリニック

かなや・たけし/1984年旭川医科大学医学部大学院修了。92年英国ロンドン大学附属神経学研究所で前庭反射を研究。96年北海道社会保険病院(現JCHO北海道病院)耳鼻咽喉科主任部長を経て、2018年4月に山崎耳鼻咽喉科クリニック理事長に就任。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医。

誰でも、どの年代にも起こるめまいは正しい知識を

「山崎耳鼻咽喉科クリニック」の金谷健史理事長は、旭川医科大学やロンドン大学などで、20年以上にわたり平衡障害や前庭反射の研究に携わってきためまいの専門医だ。 

 めまいと一口に言っても原因はさまざま。子どものめまいは遺伝的要因が多いほか、働き盛りは良性発作性頭位めまい症が多く、高齢者はフレイルからくる体のふらつきといったように年代によっても異なる。

 子を持つ親に向けて金谷理事長は「子どもがめまいを訴える場合は、前庭性片頭痛や小児反復性めまいなどが考えられ、親から体質を受け継いでいる事例も多いです。青年期には規律調節性障害や心因性が多くを占め、進学すると学校に行けなくなる例も少なくない。早期の受診をおすすめします」とアドバイスする。

 加えて近年は、スマホやゲームに起因するケースも多く、ストレートネックやブルーライトが心身に悪影響を与えているとも考えられるという。

 一方、大人のめまいはメニエール病も疑われるが、割合としては10%程度。耳鼻咽喉科での診療範囲でいうと、約半数が剥がれた耳石に起因する良性発作性頭位めまい症だ。

「起床時に回転性のめまいが起きるのが特徴です。就寝中に剥がれた耳石が三半規管に入り込んでバランス感覚を失わせてしまう。治療法は、耳石の位置を元に戻すエプリー法やブラント体操を推奨しますが、医師の指導のもとで行わないと悪化することもあります。きちんと専門医に診てもらってほしい」と金谷理事長は警鐘を鳴らす。

 また、加齢によって筋力が低下すると、いわゆるフレイル状態となり、ふらつきを伴うめまいの原因になることもある。フレイルの予防には運動と食事、社会参加がポイントで、特に重要なのが社会参加だという。

「移動機能の低下をきたすロコモティブ症候群を予防するためにも、よく食べて、よく運動することが大切。そして孤独を避けることも重要です。耳に不安があると、会話をしたがらなくなる。補聴器を使用し、難聴を改善することもフレイルの予防、つまりは高齢者のめまいの予防にもつながる」

 めまいに関する正しい知識の普及と啓蒙活動にも積極的で、7月31日には幻冬舎から『正しく理解するメニエール病』を出版。約180頁にわたって、メニエール病の解説や予防法などが詳細に紹介されている。

「めまい=メニエール病と認識する人が多い傾向があるが、全てが当てはまるわけではありません。めまいは誰でも、どの年代でも起き得ること。ぜひ正しい知識を身につけてほしい」と金谷理事長。

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