遺愛女子中学校・高等学校
創基150周年。女子校の意義を発信し続ける
今年1月に創基150周年を迎えた「遺愛女子中学校・高等学校」。北日本屈指の女子校として、明治から現在まで長きにわたって数多くの卒業生を輩出している。
ミッションスクールとして「信仰」「犠牲」「奉仕」の3大精神をもとに人間としての成長を促してきた。2007年にスタートした「客船ボランティア」もその一環で、海外から寄港するクルーズ船の外国人客を対象に生徒が通訳を担って観光案内をする取り組み。19年にはコロナ禍で中止を余儀なくされたが、昨年から再開している。
グローバル化が進む中、多種多様な外国人と接する機会は生徒にとって貴重な経験だ。ボランティア活動をきっかけに通訳を目指し、進路を決定する生徒も多い。
こうした体験・経験によって生徒の視野は広がっていく。22年からは北洋銀行と損保ジャパン、函館市内の6企業と教育支援協定を締結し、独自のSDGsプログラムをスタート。企業と生徒が共同で商品を開発するなど、さまざまな〝きっかけ〟を与えている。
各種ボランティア活動やSDGsプログラムでは、生徒の主体性を尊重している。能登半島地震の募金活動や函館市内の除雪活動も生徒の声から実現したものだ。他者への愛と奉仕心が育まれている証しといえるだろう。
人間力を育みながら、学習面もしっかりとサポート。東京大学をはじめとする国公立大学や早稲田、慶応、上智、自治医科大学など名門私大にも毎年多くの合格者を出している。医療系や法曹系を目指して進学する学生も多い。
福島基輝校長は「大学に進学後、クラスやチーム、サークルなどのリーダーとして活躍している卒業生が多い。他者を排除せず受け入れる遺愛の心を持っているからこその抜てきではないでしょうか」と話す。
一方、全国的に男子校・女子校は減少の一途をたどっている。ジェンダー平等が叫ばれる中、男女別学のメリットについて「人間形成において重要となる中学、高校という時期を、ジェンダーバイアスから解放された環境で過ごす意義は極めて大きいのではないでしょうか。多感な時期にのびのびと、ありのままの自分を貫き、周囲から受け入れられるという経験は、将来にわたって大きな財産になるでしょう。全国的に共学が増えていますが、別学の魅力を今後も伝えていきたい」と福島校長は話す。