ほっかいどうデータベース

天使大学

田畑 邦治 学長
(たばた・くにはる)1947年生まれ。74年上智大学大学院文学研究科哲学専攻修士課程修了。聖母女子短期大学助教授、同大教授、NPO法人「生と死を考える会」理事長などを歴任。2016年白百合女子大学学長を経て、20年4月から現職。

最新の知識と技術を学び、不変の「人間愛」を学ぶ

――2024年度の入学状況は。

田畑 18歳人口の減少によって厳しい学生募集環境が続き、本学も少なからず影響を受けています。こうした状況のなか、本学のアドミッションポリシーに合致した多様な方に学んでいただきたく、24年度から栄養学科で「天使みらい入試」というネーミングの総合型選抜を開始します。栄養学に意欲的に取り組む主体性のある方にぜひ受験していただきたいと願っています。8月からエントリーが開始されます。

――入学希望者を増やす施策はほかにもありますか。

田畑 やはり学生と保護者双方のニーズにしっかりと応えていくことが大切です。看護師、管理栄養士という国家資格の取得と就職がポイントとなります。

――昨年度の実績は。

田畑 看護師の合格率は96・8%を達成し、全国平均を上回りました。管理栄養士は75・9%と全国平均49・3%(新卒・既卒合計)を大きく上回っています。

――昨年度の就職状況は。

田畑 看護学科の就職内定率(5月1日時点)は、看護学科で100%を達成しており、栄養学科は97・6%となっていますが、例年通りであれば間もなく100%に届きます。なお、大学院の看護栄養学研究科と助産研究科も100%を達成しました。

――就職〝後〟の状況はいかがでしょうか。

田畑 日本では3年以内に離職する新卒者が3割を超えています。本学では定期的に卒業生からアンケートを取っているのですが、卒業生の3年離職率は比較的低いと言えます。入学時から専門職に就くことへの明確なモチベーションを持ち、本学でそのための研さんを積んだわけですから、〝なんとなく入社した〟就職先とは思い入れが違います。卒業生は、国立・大学病院や一般病院、福祉施設、自治体、学校、保育園、調剤薬局などさまざまな就職先から高い評価をいただいています。

――明確な目標を持った学生は強いですね。

田畑 確かにそうなのですが、その半面、保護者をはじめ周囲から寄せられる期待も大きいでしょう。また、看護師や管理栄養士などはコメディカルスタッフとの多職種連携が求められるようになり、多分野の知識が必要となっています。医療・福祉制度の理解や地域との関わりなど、役割の幅も広がっているため、多職種連携だけでなく、グローバルやキャリア教育など現在のニーズにあったカリキュラムを展開しています。また、学生一人ひとりの理解度を把握し、個別に学修を支援しています。せっかく志を持って入学してきた学生ですから、ドロップアウトさせないことも大学の責務だと思っています。

――一定のITリテラシーも医療・福祉現場では必要になっていますね。

田畑 電子カルテの普及や遠隔医療など、テクノロジーの進歩は目覚ましいですね。本学でもオンライン授業を活用しているほか、情報処理演習等の授業で学生のITリテラシーを高めています。

一方、こうした変化・進化のスピードが速い時代でも、人間としての不変のものはあります。本学ではカトリック大学として授業や儀式などの宗教教育を通じ、他者に寄り添う「人間愛」を育んでいます。看護師も管理栄養士も病気を患った人や高齢者、障がい者など多様な方と接するわけですから、「ハイテク(先端技術)」とともに「ハイタッチ(人とのふれあい)」が大切です。専門職としての知識と技術はもちろんのこと、心と心の触れあいが接する人々にやすらぎと安心感を与えるのです。機械化、効率化、省人化が進む世の中ですが、〝人〟として働く意味をしっかりと捉えた学生を育てたいですね。

――卒業生の特徴は。

田畑 一言で言えば、チームにうまく溶けこめるタイプが多い。もちろん、リーダーシップを発揮している卒業生もいますが、チームの潤滑油として現場を円滑に機能させる能力に長けていると思います。ミサなどで自分自身をしっかりと見つめてきたからこそ、自己を肯定でき、他者も肯定できる。今後、多職種連携はますます進み、連携力に優れた人材が医療・福祉現場などから重宝されるはずです。

――24年4月に学校法人「藤天使学園」が発足しました。

田畑 本学と同じカトリック教育を行う藤学園との法人合併で、4月から新体制となりました。新法人の副理事長も兼務しています。今後はカトリック教育のさらなる普及を図るとともに、姉妹校として藤女子中学校・高等学校、藤女子大学との連携も強化し、教育環境をブラッシュアップしていきます。

全国唯一の専門職大学院で助産師を養成
命に寄り添える看護師を養成
高齢化社会で管理栄養士のニーズは高まっている