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札幌円山整形外科病院

小笹 泰宏 副院長
おざさ・やすひろ/1998年札幌医科大学医学部を卒業後、札幌医科大学医学部整形外科入局。2011年米国Mayo Clinic留学。2021年4月から現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医。

肘から手指の疾患に特化した〝手外科〟の専門医

病床数110床の整形外科専門病院である「札幌円山整形外科病院」。一般外傷のほかスポーツ障害、変性疾患まで整形外科分野を幅広く診療している。

部位や疾患に応じてそれぞれの専門医が診療。小笹泰宏副院長は肘関節から手指までを専門とする〝手外科〟の専門医である。

最も多いのは外傷で、転んだ時に手をつくことで骨が折れる橈骨遠位端骨折が代表格。

折れ方によっては関節鏡を用いた治療も行っている。

テニス肘やゴルフ肘をはじめとする肘の障害の治療も数多く手掛ける。

「40歳以上になってくると筋肉のしなやかさが失われることで腱に負担がかかり、スポーツをしていなくても発症するケースが少なくありません。物を持ち上げた時やマウス操作をした際に肘の痛みを感じたら受診して下さい。慢性化すると治りにくくなります。また、ステロイド注射は複数回行うと腱が切れるリスクがありますので、注射を受けて良くなっていない方は相談してください」とアドバイスを送る。

母指CM関節症など、手の病気の患者も数多く治療している。親指から薬指にしびれを感じる「手根管症候群」も得意分野だ。「ビタミン剤などの飲み薬でも改善されますが、ステロイド注射も有効です。ただ、神経損傷のリスクがありますのでエコーを用いて慎重に行っています」と小笹副院長。

スポーツ障害では、手関節の小指側に痛みが生じるTFCC損傷に注意が必要だと言う。

「単なる捻挫と診断され、初期段階で適切な治療をしなかったことで手術になることがあります。手首の痛みが続く場合はMRIによる診断をおすすめします」とのこと。

小笹副院長はどの疾患においても保存治療を優先している。手術が必要なケースでも関節鏡を使い、低侵襲な手術を実践している。

「やみくもに手術をせずに、触診をして痛みの部位や症状の出方を把握し、投薬やリハビリなどの保存治療を優先するのが診療のポリシーです」  

病院の隣接地に建築中の新病院は2023年12月に完成予定。病室の4割を個室にし、手術室も増設、リハビリスペースも拡大する見込みだ。

「医療機器としては針の太さほどの内視鏡であるナノスコープや超音波メスが導入されます。どちらも小切開で低侵襲に施行でき、特にスポーツ整形外科の分野に有効な機器です」と楽しみにしている。

新病院の完成予想図。地下鉄東西線「西28丁目駅」から徒歩5分